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西田 宗千佳のBeyond the Mobile 第23回

シャープが新Mebiusで狙う「UIの変革」と新しい市場

2009年05月06日 16時00分更新

文● 西田 宗千佳

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カスタマイズ要素で女性を狙え

笛田「着せ替え用のジャケット『アドオンジャケット』も、実は昔からやっていたのですが、今回はあえて無地・透明としました。実のところこれは、紙を挟み込んでデザインを見るためのテスト用で作ったものだったんです」

天面にはMebiusのシンボルマークが

天面にはMebiusシリーズのシンボルマークがあるだけの、シンプルデザイン

「しかし、『このままで、(ユーザーに)自由に作ってもらった方がいいのでは』という意見もあり、商品化を決めました。本体が黒と白なのも、まずは(加工しやすい)シンプルなところから、という発想です。『加工のために、ジャケットは透明でなく白がいい』という意見もいただきましたので、検討していきたいと思っています」

アドオンジャケットとサンプルの紙

オプションの「アドオンジャケット」と、サンプルの紙。天板のカラーバリエーションは珍しくないし、写真やイラストを印刷するサービスを提供しているメーカーもあるが、ユーザー自身で自由に変えられるのは非常に珍しい

 このあたりは、特に女性向けの観点だろう。携帯電話などに「自分ならでは」の装飾ができることは、これまでパソコンにあまり見られなかった。以前アップルが同様のアプローチを行なったこともあるが、当時とは時代もカルチャーも大きく異なる。アピールの仕方によっては、化けるかも知れない。

 シャープが「パソコン市場への再チャレンジ」するうえで、いわゆるマニア層ではなくより広い層を狙ったことは、現在のパソコン市場を象徴しているような気がする。高付加価値ではあるものの、その付加価値が従来のパソコンのままでは、なかなか商品性に結びつかない、ということなのだろう。

 そのうえで、「Netbookでありながら8万円と少々高い」ことが、「手書き・タッチ」「カスタマイズ性」といった部分で補えるかどうかは、興味深いところである。どちらも「パソコンに詳しい人」にはさほど響かないだろうが、そうでない層にはまた別であろうからだ。

 問題は、光センサー液晶パッドの面白さや可能性が、どれだけ広くアピールできるか、ということだ。アップルや任天堂の二番煎じのままでは、魅力とはならない。情報表示も含めて、魅力的アプリケーションの登場が最終的な価値を決めるのは間違いない。発売時には準備できなくとも、早期にその「なにか」が見つかるか否か。シャープの努力と、ユーザー側からの用途提案に期待したい。

オススメする人
・オリジナリティの高いパソコンが欲しい人
・光センサー液晶パッドに可能性を感じる人
PC-NJ70A
CPU Atom N270(1.60GHz)
メモリー 1GB
グラフィックス Intel 945GSE Expressチップセット内蔵
ディスプレー 10.1型ワイド 1024×600ドット
HDD 160GB
光学ドライブ 搭載せず
無線通信機能 IEEE 802.11b/g、Bluetooth 2.1
カードスロット SD/メモリースティック/xDピクチャーカード兼用スロット
インターフェース USB 2.0×3、アナログRGB出力、10/100BASE-TX LANなど
サイズ 幅260×奥行き190×高さ23.3~39.8mm
質量 約1.46kg
バッテリー駆動時間 約3時間
OS Windows Vista Home Basic SP1
予想実売価格 8万円前後

筆者紹介─西田 宗千佳

1971年福井県生まれ。フリージャーナリスト。得意ジャンルは、パソコン・デジタルAV・家電、そしてネットワーク関連など「電気かデータが流れるもの全般」。主に取材記事と個人向け解説記事を担当。朝日新聞、読売新聞、アエラ、週刊東洋経済、月刊宝島、PCfan、YOMIURI PC、AVWatch、マイコミジャーナルなどに寄稿するほか、テレビ番組・雑誌などの監修も手がける。近著に、「美学vs.実利『チーム久夛良木』対任天堂の総力戦15年史」(講談社)、「クラウド・コンピューティング ウェブ2.0の先にくるもの」(朝日新聞出版)。


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