このページの本文へ

前へ 1 2 次へ

遠藤諭の「0(ゼロ)グラム」へようこそ

ジャパネットたかたのテレビ論

2009年04月03日 10時00分更新

文● 遠藤諭/アスキー総合研究所

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

ジャパネットたかたの生態系とは?

 また、ジャパネットたかたは新聞の折り込みチラシなど、「紙」による売上げのほうが実は大きいのだともいう。サイトにアクセスしてみると分かるが、「テレビ放送で探す」、「ラジオ放送で探す」、「チラシ・新聞で探す」、「カタログ・ハガキで探す」と、ネットが他メディアの受け皿になっていることが分かる。わたしなりに、ジャパネットたかたの顧客誘導を図にしてみたので見ていただきたい。これは、ちょっとした生態系になっている。

顧客誘導フローチャート

ジャパネットたかたの顧客誘導フローチャート

※注意:アスキー総研で独自に作ったものなので、ジャパネットたかたさん的には「ちょっと違う」という部分があるかもしれません

 とはいえ、各メディアへ誘導するいちばん最初のとっかかりとなっているのはテレビだ。ジャパネットたかたは「生放送」にこだわっているのでも有名で、「なぜ“生”なんですか?」と聞くと、「生は楽ですからね、編集したら10倍くらい大変」だからだという。生放送中のスタジオは殺気だってすらいたが、放送が終わればすぐに忘れて、次の仕事に向かって集中できる。

 もっとも、生放送の最大のポイントは、顧客と同じ視線になれることだと高田社長は語る。テレビは双方向メディアではないので、番組はあくまで送り手側の論理でつくられるのだが、テレビを介してお客さんとコミュニケーションを取るしくみをどう入れていくかという視点を持っていなければならない。つまり、「WBC、イチローさん打ちましたねー」とやれるのが重要なポイントなのだという。

 テレビでは、同じ映像を全国の茶の間に届けて、日本中のお茶の間が同時に爆笑するようなことが起こる。テレビは、「共感装置」だということだ。わたしが高田社長のお話の中でテレビやラジオや紙に対する考え方――メディア論的なところに興味を持ったのは、ここ最近「テレビ」についての議論が目立つからだ。アスキー総研も3月19日に「テレビの未来」というセミナーを開催した(関連記事)が、翌々日には、NHK総合で「テレビの、これから」という生討論番組が放送された。4月16日には、NHK放送文化研究所が春のシンポジウムとして「変容の時代 メディアの可能性を探る 岐路に立つテレビ~ピンチとチャンスにどう対峙するのか?~」を開催する。

 しかし、お話をうかがっていると、そんな議論とは無縁のところで、高田社長はテレビやメディアを考えているように思える。テレビ放送全体とテレビ通販を比較するなと言われそうだが、以下のような表を作ってみると、逆に「テレビとは何か?」ということを考えたくなる。何でもやれることを、型破りに仕掛けてきたのがテレビだったのではないかとも思うのだ。

テレビ放送とジャパネットたかたの比較

テレビ放送とジャパネットたかたの比較


前へ 1 2 次へ

カテゴリートップへ

アスキー・ビジネスセレクション

ASCII.jp ビジネスヘッドライン

ピックアップ