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松村太郎の「ケータイが語る、ミクロな魅力」 第66回

Gyorolに見る生活リモコンとしてのケータイ

2009年03月28日 15時00分更新

文● 松村太郎/慶應義塾大学SFC研究所 上席所員

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大画面で楽しむHelmets!

 そして2008年4月メディア芸術祭に出展しようとして制作していたのが、「Helmets!」という作品だ。自分で写真を撮ってメールを送ると、画面の中に自分のヘルメット型のアバターが登場し、ケータイから画面の中のアバターを動かすことができる仕組みだ。

こういった形でケータイから自分の顔写真を取り込んでゲームに活用する

 「40人くらいのアバターが参加して、プロジェクターを投影した画面上で、○・×クイズをやってみました。ケータイからの操作が、パブリックな画面の中に飛び込む感覚は、参加者の皆さんから『純粋に驚いた』といった感想が得られました。パーソナルなケータイを使って、みんなが集まって遊ぶ、という経験があまりなかったこともあり、とても盛り上がりました」(白川氏)

 しかしながら、Helmets!は、参加者を束ねる司会者、オペレーターが必要で、参加する手順も複雑であるという点がネックとなった。そこであえてメディア芸術祭に出展するのを取り止め、釣り堀のコンテクストを持ったGyorolを制作したそうだ。確かにGyorolならユーザーが1人でも純粋に釣りを楽しめるし、大画面の釣り堀なので皆が参加している感覚を共有もできる。

 両者に通じることは、ケータイとネットワーク化された大型ビジョンにみんなが向かい、インタラクティブな経験をすることの面白さや可能性を、エンターテインメントを通じて具現化しようとしている点だ。

 GyorolやHelmets!で遊んでみると、そろそろ、ケータイはパーソナルなもの、という概念から少し進んで、パブリックに、あるいはソーシャルに何か作用するコントローラーとしての性格を考える時期に来ているのではないか、と感じるのである。

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