最新パーツ性能チェック
― 第70回
遅れてきたVIA製省電力プロセッサNanoはAtomに勝てるのか?
2008年11月29日 23時58分更新
文● Jo_Kubota
その昔、デスクトップPC向けx86プロセッサは非常に種類が多かった。しかし1社また1社と撤退、あるいは買収などで姿を消し、今や残ってるのはx86プロセッサの元祖であるIntel、そしてAMDだけ……と思いきやしぶとく生き残っているのがVIAだ。
現在VIAのCPU路線はハッキリしている。それはIntelやAMDなどのハイパフォーマンス路線を狙わず、省電力な組み込みPCやセットトップボックスに特化していることだ。そのVIA最新CPUが「Nano」(コードネーム:Isaiah)だ。
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VIAの最新CPU「Nano L2200」 |
VIAの新CPU「Nano」
基本は以前のCPUであるC7(Eden)路線を踏襲しているが、アーキテクチャは一新され、分岐予測をするスーパースカラアーキテクチャを採用。64bitの命令セットや、マイクロフュージョン機能などに対応している。FSBは400MHzから800MHzへ、そしてL2キャッシュは128KBから1MBへと大幅に増加するなど、C7と比較してかなりパワーアップしたプロセッサとなっている。
Nanoの発表は5月、その後7-8月にメディア向けにサンプルが出荷され各誌でレポートされたが、正式な販売は今月となった。いつも通りあてにならない出荷情報である。
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写真左のCPUが「Nano L2200」、右が「Atom 230」。NanoのダイサイズはAtomの倍以上ある |
今回発売されたのは、Nano L2200(1.6GHz)を搭載するMini-ITXサイズのマザーボード「VIA VB8001」だ。VIAがCPUソケット向けのプロセッサを発売しなくなって久しいが、IntelおよびAMDとのバス互換が基本的には無いため、自社のマザーボード以外で使われることはなく、そのためコスト削減が可能なBGAパッケージとし、マザーボードにオンボードという形となっている。
対抗となるIntelのAtomプロセッサと仕様を比較してみても、TDPではやや分が悪いもののスペック的には遜色ない。ただAtom 230はHyper-Threadingに対応し、Atom 330はデュアルコア+Hyper-Threadingで4スレッド処理が可能というアドバンテージがある。もっともPCはCPUだけで動いているわけではないので、組み合わせられるチップセットやグラフィックス性能の方が問題になることも多いのだが……。
CPU |
Nano L2200 |
C7 |
Atom 330 |
Atom 230 |
コア数 |
1 |
1 |
2 |
1 |
処理スレッド数 |
1 |
1 |
4 |
2 |
製造プロセス |
65nm |
90nm |
45nm |
45nm |
CPUクロック |
1.6GHz |
2GHz |
1.6GHz |
1.6GHz |
L2キャッシュ |
1MB |
128kB |
512kB×2 |
512kB |
FSB |
800MHz |
400MHz |
533MHz |
533MHz |
TDP |
17W |
20W |
8W |
4W |
SSE3対応 |
○ |
○ |
○ |
○ |
64bitOS対応 |
○ |
× |
○ |
○ |
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Nano L2200のCPU-Zの結果 | | メモリはDDR2-667で動作している |
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シングルコアのIntel「Atom 230」 | | デュアルコアのIntel「Atom 330」 |
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シングルコアのAtom 230のCPU-Zの結果 | | Atom 330はデュアルコア+Hyper-Threadingに対応しOS上からは4CPUとして認識される |
(次ページへ続く)
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