松村太郎の「デジタルとアナログの間」
遊びを誘発する箱──「Pixel Factory」と岡田氏
2008年12月01日 12時00分更新
懐かしくなるデジタル
自らの作品である映像を作り出す装置のことを、岡田氏は「楽器」に例える。
岡田氏 楽器はプレーヤーとのインタラクションがとても強い道具だと思います。楽器とのインタラクションで演奏が始まり、演奏することで何かインスパイアされる。あるいは人同士のセッションというコミュニケーションを作り出してくれる。そんな道具全般がやはり好きなんです。
金づちもiPhoneもすべて道具ととらえる岡田氏は、触れることで仕組みが理解できたり、触れることで何かが起きて、道具として機能してくれるモノに対しての追求を続けている。デジタルとアナログというテーマも、この道具に対する追求の中に含まれてくるという。
岡田氏 アナログのよさは、触ればすぐにわかること。レコードプレーヤーにはノイズが多く、デジタルになるとノイズは一切の排除を受けるが、どこか冷たくなってしまっていないだろうか。冷たくなったデジタルの手触りに、どれだけ質感を持たせることができるか? そこを研究したいと思っている。
現在がデジタル全盛だからこそ、アナログを回顧するようなテーマ設定と作品制作をする岡田氏。現在のデジタルが時代遅れになるときがいつかくるかもしれない。そのときに岡田氏は「懐かしいデジタルテクノロジー」を作りたいという。そこには、岡田氏がいま取り組んでいる、感触のある温かいデジタルの姿が反映されるのかもしれない。
筆者紹介──松村太郎
ジャーナル・コラムニスト、クリエイティブ・プランナー、DJ。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)。ライフスタイルとパーソナルメディア(ウェブ/モバイル)の関係性に付いて探求している。近著に「できるポケット+ iPhoto & iMovieで写真と動画を見る・遊ぶ・共有する本 iLife'08対応」(インプレスジャパン刊)。自身のブログはTAROSITE.NET。
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