ノウハウを伝授──(C)金森氏のスゴ技4本
というわけで金森さんのサウンドメイキング講座、スタート!
今回は金森さんが実際に音を作っている過程を動画に押さえ、それを編集して紹介している(それに合わせて不肖・四本の解説も参考にしてもらえれば幸いです)。具体的な各ツマミのパラメーター設定の要所は、DSの液晶画面を用意してあるので、それを参照してほしい。なおLesson 1からLesson 4まで、すべてドラムトラックを使う。
Lesson 1「和音を鳴らす!」
DS-10は単音しか出せない「モノフォニックシンセサイザー」なので、本当は和音を弾くようにはできていない。しかし、2VCO構成のシンセが2つ入っているので、合計4音を同時に鳴らせる。それぞれのピッチを調整してシーケンスを組めば和音が実現できるわけだ。
さらに4つあるドラムトラックも、それぞれが2VCO構成なので、素直にやっても合計12の和音が鳴らせる。
だが和音ばかりを鳴らしていると、すぐにDS-10の音源を使い切ってしまう。ドラムやベースを使ったアンサンブルも組みにくい。そこで、限りあるDS-10の資源を有効利用すべく、ドラムトラック1つだけで4つの和音を成立させる。それがこのワザだ。
では金森さんの解説と実演をどうぞ。
まずVCO2のチューニングをVCO1に対して完全5度に調整する。完全5度とは「ド」と「ソ」の関係。VCO2 PITCHのつまみを調整して、VCO1の「ド」に対して、VCO2の「ソ」の音が重なるようにする。
この完全5度の「ドソ」に、LFOの矩形波を使ってビブラートをかける。矩形波なのでスイッチングするように音程がカクカクと動く。この振れ幅の調整で、聴こえる和音が違ってくる。例えば長3度の幅で動かせば「ドソ」と「ミシ」の音が連続して入れ替わることになる。
その状態で徐々にLFOのスピードを上げていくと、人間の耳には「ドソ」「ミシ」の和音のように聴こえてくる。ドミソシと言えばメジャー7thの構成音だ。これが2VCOで4声の和音を成立させるワザだ。
仕上げにコーラスをかける。和音に聴こえると言っても、音程を小刻みに上下させているだけ。時間軸で切ると4音一緒に鳴っている箇所はないので、音の段差が分かってしまう。その段差を埋めるのがコーラスだ。
コーラスはごく短いディレイ成分を付加し、音程を揺らすことで成り立つ効果。音程をぼかすと同時に、原音が「ドソ」のとき、ディレイ成分が「ミシ」なら、それらが重なった部分は、時間軸で切っても「ドソミシ」の4声が同時に鳴っていように聴こえる。
実はこのワザ、通常のシンセパートでもできる。ただしその場合は、和音を作るパートにコーラスをあてる必要がある。でもドラムトラックで和音を作れば、シンセパートのFXは何をどう使ってもいい。それがドラムトラックで和音を作るメリットだ。
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