Inspiron Mini 12は「ハイエンドB5モバイル」キラーか (2/4)
2008年11月20日 09時00分更新
低価格とは思えない仕上げ、操作性も良好
分類するなら低価格パソコンに入るMini 12だが、各部の仕上げはかなり良好だ。特に、ディスプレーを閉じた状態での質感は、とても10万円以下のパソコンとは思えない。天板の光沢仕上げももちろんだが、出っ張りがなく、ぴったりと仕上げられた全体のフォルムには、とても好感が持てる。デザインだけでいえば、高価格なモバイルノートに勝るとも劣らない。
本体重量は1.24kgと、そこそこの軽さ。重量バランスがいいせいか、持ってみると「大きさの割に軽い」という印象を受ける。極端に薄いノートというわけではないのだが、角が落ちたデザインであるせいか、一見して薄く感じる。このあたりも、バランスの良さから来るものかも知れない。
最近の高級モバイルノートと共通の特徴もひとつある。それは、ラッチレスであるということ。ヒンジが少々堅めで、片手でスッと開ける……とはいかないところは、コストの限界だろうか。しかし、ラッチレスは操作性の面でもデザインの面でも、プラスであることは間違いなく、「価格以上のクオリティー」という印象に一役買っている。
ちょっと気になるのは、ACアダプターのコネクターが、本体左側の真横にまっすぐ飛び出すところだ。卓上では意外と場所をとり、邪魔になった。ACアダプターそのものはコンパクトで、鞄の中などでもかさばりにくい。同社のMini 9でも使われている、独特の形状のものだ。
またSDカードスロットも、一般的なノートパソコンのスロットと違って、カードが半分くらい出っ張るタイプだ。実用上問題ないとはいえ、あまりかっこいいものではない。Netbookではこのようなスロットが使われる場合もあるようなので、コスト的に有利なのかも知れないが。
一番気になるのはやはり操作性だろう。同社のInspiron Mini 9のキーピッチが15.6mmであるのに対し、Mini 12のキーピッチは、フルキーボードに近い17.5mm。B5モバイルノートの代表格である、パナソニックの「Let'snote R」シリーズのキーピッチが17mm程度だから、これにかなり近い。
キーのタッチは「独特だが悪くない」印象だ。少々腰がない「クニャッ」とした打ち心地で、筆者の好みとは異なる。だが、打鍵音が小さく、低価格なキーボードにありがちなキートップのぐらつきも小さいため、そこそこ快適にタイプできる。この価格でこのタッチ感ならば、十分合格といっていい。
ただし、英語キーボードを基本に作ったためか、キーの多い日本語キーボードでは、Enterキーに近いいくつかのキーにしわ寄せが出てしまい、これらのキーの横幅がかなり小さくなっている。また、カーソルキーがフルキー部に一体化されているのも、ミスタイプを誘いやすい。このあたりは、低価格化にともなう事情が透けて見える。
キーボードの操作感が良好であるのに対し、タッチパッドの操作感はあまり良くない。特にボタンは妙にストロークが長く、押し心地に慣れるまで時間がかかった。Mini 12に限らず海外のNetbook系の製品には、キーボードはいいのにタッチパッドのボタンは使いにくい製品が少なくない。ひょっとすると、日本以上に「外付けマウス」の併用を前提とした商品なのかも知れない。
すでに述べたように、液晶ディスプレーは1280×800ドットの12.1型と、実用的なサイズかつ解像度となっている。上下左右の視野角は少し狭い印象だが、実用上の問題はあまりない。色再現性もなかなか。真っ正面から使う、という前提に立てば、大きな不満を感じることはないだろう。
ただし、光沢液晶パネルならではの照り返しはかなり目立つ。高級モバイルノートと違い、照り返し防止のコーティングもされていないようだ。光沢パネルを好まない人にはつらい製品といえそうだ。ただし、12.1型ワイドというありふれたサイズゆえに、アンチグレア化するフィルターなどは、市販のものが流用しやすい。
ディスプレー部分は、最大に開いて120度ほど開く。プレゼンなどで使う場合は、180度近くまで開くと便利なのだが。
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