最大256個の論理CPUに対応
Vistaで導入されたディスクI/Oの新機能「ロープライオリティI/O」を、Windows 7ではOS各所で多用することにより、システム全体のパフォーマンスを改善している。ロープライオリティI/OはVistaで搭載されたものだ。しかし、Vistaでは十分に活かされていなかった。そこでWindows 7では、これをシステムサービスで積極的に活用するように変更されている。
例えば、検索のベースとなるインデックスを作成する際には、ロープライオリティI/Oを使用することで、優先度の高いほかのアプリケーションによるディスクアクセスを妨げずにすむ。バックグラウンドでインデックスの作成が行なわれていても、システム全体のパフォーマンスはあまり落ちない。
Vistaでサポートされた「ReadyBoost」機能(関連記事1)も、Windows 7で拡張される。Windows 7のReadyBoostでは、USBメモリーやパソコンが内蔵するフラッシュメモリー(Intel Turbo Memoryなど)など、複数のメモリーを同時にReadyBoost用として利用できるようになった(1メモリーデバイス辺りの最大使用量は、Vistaと同じ4GB)。
そのほかにもWindows 7では、今後のマルチコア/メニーコアCPUに対応するために、サポートする論理CPU数が最大256個に引き上げられた。ちなみにVistaやWindows Server 2008では最大32個である。
ただし、クライアントパソコンの論理CPU数が、すぐに256個になるとは考えにくい。クライアントOSでは、いくつかのエディションが用意されるため、実際の対応CPU数に制限が加えられる可能性もある。あくまで「OSカーネルとしては、これだけのCPUに対応できる」ということだ。
Windows 7は32bit版と64bit版がリリースされる予定だ。メモリーの容量対価格比が安くなり、低価格製品でも2GBを搭載する時代になってきたため、4GB以上のメモリーを活用できる64bit版への移行は急がれている。なお、Windows Server 2008 R2は64bit版のみのリリースとなっている。また、5日から開かれるハードウェア開発者向けカンファレンス「WinHEC 2008」では、デバイスドライバーの開発者に対して、64bit対応を強く推奨するという。Windows 7が最後の32bit OSになる可能性も高い。
アプリケーションの互換性を自動で設定
Windows 7はVista SP1をベースとしているため、Vistaで動作しているアプリケーションのほとんどが動作するはずだ。そして、もし動作しないアプリケーションがあれば、どうして動作しないのかを分析する機能が用意されている。
例えば、アプリケーションのインストールや動作時にOSのバージョン番号をチェックしているソフトウェアがある。Windows 7では、このバージョン番号チェックで動作を停止した場合、ログを分析して、再度そのアプリケーションを起動する時には、自動的にバージョン番号を変更して返すことで、アプリケーションの動作を可能にする。
Vistaにも「プログラム互換性ウィザード」というツールが用意されていた。しかし、ユーザー自身がプログラム互換性ウィザードを起動して、対象アプリケーションを登録する必要があったので、ほとんど使用されなかった。Windows 7ではこれを自動化しているわけだ。
Windows 7本来のUIが入るのは、09年早々?
PDC2008で配布されたプレβのWindows 7は、ビルド番号「6801」というバージョンだった。このビルドには、Windows 7独自のUIなど、いまだ実装されていない機能がいくつかある。ちなみにWindows 7のUIのデモでは、ビルド番号「6932」が使用されていた。
マイクロソフトは、PDC2008やWinHEC2008の参加者に「ビルド6801でVistaとの互換性を十分にテストしてほしい」ため、プレβの段階でリリースしたとのことだ。
Windows 7の本来のUIが入ったβ版は、2009年早い時期のリリースが予定されている。PDC2008の内容を日本で紹介するカンファレンス「Tech Days 2009」が、2009年1月27~28日にパシフィコ横浜で開催される予定だ。関係者によれば、ここでWindows 7のUIが入ったβ版が配布されるのではないかとのことだ。
次回はWindows 7のセキュリティーや、バックアップ/リストアに関して解説する。
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