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次世代Windowsの姿が見えた! 第8回

パフォーマンスが大幅改善!? Windows 7の実像 Part 1

2008年11月05日 18時59分更新

文● 山本雅史

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 PDC2008でプレβ版が公開された、次世代クライアントOS「Windows 7」。ここではWindows 7の実像に迫ってみる。まずは概要から紹介しよう。

スティーブン・シノフスキー氏

Windows 7の開発責任者である、Windows&Windows Liveエンジニアリンググループの上級副社長 スティーブン・シノフスキー氏

プレβ版のWindows 7

プレβ版のWindows 7。UIはまだ未完成だが、パフォーマンス面の改良は進んでいる

 PDC2008の講演で、Windows 7の開発を担当しているスティーブン・シノフスキー(Steven Sinofsky)氏は、Windows 7の重点項目について、以下のように述べている。

 「Windows Vistaの多くの問題点を認識し、それを改良するようにWindows 7を開発している。Windows 7では3つの大きなポイントを重視した。ひとつは互換性。Windows 7とVistaでは、デバイスドライバーやアプリケーションに互換性の問題が生じないようにしている。また、アプリケーションの互換性に問題が起こったときは、OS側で自動的に対処して、ユーザー自身が対処する必要がないようにしている」

 「2つめはパフォーマンス。Vistaではユーザーインタフェースの改良など、さまざまなことを行なったため、パフォーマンスに問題が出ていた。Vista SP1で大きく改良したが、Windows 7でさらに改良し、ユーザーにとって快適な使用環境を実現する」

 「3つめはユーザーインタフェース(UI)。Vistaでは「Windows Aero」という新しいUIを採用したが、ユーザーにとって使いやすい部分と使いにくい部分が生じていた。Windows 7では多くのユーザーにUIをテストしてもらい、シンプルでわかりやすく、使いやすいUIを構築している」

Windows 7はパフォーマンスと安定性、セキュリティー、そして電力コントロールに注力

Windows 7はパフォーマンスと安定性、セキュリティー、そして電力コントロールの4分野に注力して開発が進められている


Windows 7のカーネルはVista SP2ベースか?

 マイクロソフトはWindows 7のOSカーネルを、Vista SP1やWindows Server 2008と同じものと説明している。Vistaで使われているドライバーは、Windows 7でもそのまま利用できるという。そのため、Vistaで大きな問題となったデバイスドライバーの互換性などは、あまり問題にはならないだろう。またアプリケーションに関しても、Vista SP1との互換性を維持しているので、Vista SP1で動作しているアプリケーションはWindows 7でもそのまま動作する、と説明している。

 ただし、純粋にVista SP1/Windows Server 2008そのままかと言うと、少し事情が違うようだ。マイクロソフトは2009年に、Vista SP2/Windows Server 2008 SP2のリリースを計画している。そのためWindows 7は、Vista SP2がベースになっているのではないかと推測される。ちなみに今回のPDCでは、Vista SP2に関しての発表はなかった。

 Windows 7ではOS改良の一環として、メモリー関係のチューンナップが行なわれている。これにより、OSが使用するメモリーをVista SP1よりも少なくしている。

 メモリー関連のチューンナップは、OSカーネルだけではない。たとえば、Windows Aeroが使用するメモリー量を抑えたり(Windows Display Driver Model 2.0への変更)、多くのウインドウを開いても、Aero Basicに切り替わったりしないようにしている。

 これ以外にも、Windows 7ではOSの起動やスリープなどの高速化を図っている。OSの起動時に動かすサービスやシステムを見直し、必要なものだけを最初に起動することで、起動の高速化を実現しているという。

Vistaでのパフォーマンスを比較したグラフ

Vistaをクリーンインストールした直後と、10個のアプリケーションをインストールしたあとに、パフォーマンスを比較したグラフ。さまざまなアプリケーションがバックグラウンドで動作することで、パフォーマンスが悪くなっている。Windows 7では新しいサービス起動方法を採用することで、必要なときにだけ必要なサービスを提供できる

 メモリーリークを抑えることで、OS全体の信頼性も向上している。「Fault Tolerant Heap」と呼ぶ機能では、OS側でアプリケーションのメモリーリークを検知することで、メモリーリークがシステム全体に影響を与えないようにしている。

 さらに、アプリケーションが動作中にクラッシュを起こすと、Windows 7が自動的にクラッシュした原因を分析する。そして同じアプリケーションを起動した時には、クラッシュを回避する対策を施し、アプリケーションが安全に動作するようにする「Process Reflection」機能も用意されている。

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