これからのキーワードはウィジェット
――日本の携帯事業者はフルブラウザーを載せることに積極的ではないように思いますが、そのことについてどう考えていますか?
ダグ 日本のモバイルマーケットが閉鎖的であるのは余り良いことだとは思っていません。他の国の市場では、メーカーはできるだけユーザーのニーズに合わせた製品を提供したいと考えています。携帯電話機でもっと快適にインターネットを使いたいというユーザーの要求に応えて、OperaはUSやヨーロッパの市場に向けて「Opera Mini」を提供しています。
さらにOperaは、最近ではネット閲覧だけでなく「Opera 9」から実装されたウィジェット機能(関連記事)も提供していて、これは米国のT-Mobileで採用されています。ユーザーが自分の好きなウィジェットをダウンロードして、待ち受けなどに利用できるようになっています。
日本でも、KDDIが「au oneガジェット」(関連記事)という似たようなサービスを提供していますが、ウィジェットはこれからのトレンドになっていくと思います。
ブレント みんなパソコンでYouTubeのようなウェブサービスを使うのが普通になりましたが、今の携帯電話用ブラウザーでは十分な対応は難しい。だから、Operaは消費者に期待されていると思っています。
今後、YouTubeだとかmixiといったパソコンで使われているサービスが、ニンテンドー DSのようなデバイスでも使われると考えるなら、携帯電話でもパソコンと同じものが見られるフルブラウザーやウィジェットの需要が今後さらに高まっていくと思います。
サービス側にとっても、より多くのデバイスに対応することが今後のトレンドになっていくのではないでしょうか。
――そういう需要は実際にどのぐらいあるのでしょうか。
ダグ 我々はOperaのウェブサイトに「State of mobile web report」という文書を毎月掲載しています。これはモバイルではどういう風にウェブが利用されているかという内容で、残念ながらこのデータには日本は含まれていませんが、ドイツやアメリカ、ロシアなど10ヵ国のデータを集計したものです。
このレポートによると、Opera miniでアクセスしているサイトのトップ10は、どの国でもデスクトップパソコンからアクセスしているサイトのトップ10と変わりません。デスクトップでもモバイルでも「Facebook」(関連記事)のようなソーシャルネットワークサイトへのアクセスが高いという結果がでています。
このことから、デスクトップであろうとモバイルであろうと、ユーザーが見たいサイトはほとんど同じではないかと我々は考えています。Operaを利用すれば、ユーザーはいつも使っているサービスをモバイルからでも利用できるのです。
――日本では面白いことに、携帯ユーザーとパソコンユーザーとでは利用しているコンテンツが違っています。そのことについてどのようにお考えですか?
ブレント いろいろ理由はあると思います。日本はかなり極端にモバイルとパソコンが分かれていますが、海外ではそんなに分かれていません。パソコン向けのウェブも日本ほどファイルサイズが大きくはないから、携帯電話機でもそれほど問題なく見られるんです。
パソコンでGoogle マップやYouTubeなどを見慣れたユーザーは、携帯電話機でも同じように使いたいと思うでしょう。今後、携帯電話のインターネットでも、もっとリッチな機能が要求されると思っています。
――デスクトップでもモバイルでもユーザーの見たいサイトは実は同じとの事ですが、「Opera Link」(異なるマシンのOpera同士で同じブックマークを利用できる機能)はそういうユーザー要望から生まれたものですか?
ダグ ユーザーはデスクトップでもモバイルでも、同じブックマークを利用したいと考えているはずです。
それを機能として提供するのは、Operaがこれまでずっとこだわってきた、最上のユーザー経験を提供するというコンセプトの一環なのです。ちなみに、Operaリンクではブックマーク以外にもメモなどもシェアすることができますし、最新の「Opera 9.6」ではアドレスバーに入力した履歴も共有することができます。