常用ISO 6400とISO 3200どのぐらい差が出るの?
画作りに関して統一がとれていると書いたが、D700とD300の決定的な違いに感度がある。ニコンお勧めの常用感度では、D700がISO 200~6400、D300がISO 200~3200と約1段分の差だが、D700ではこれに+2段分の増感処理を加えて、最大2万5600で撮れてしまう(!) D300は+1段増感の最大6400までなので、D700はまさに未知の領域である。
ノイズレベルの差などは夜景撮影のサンプルなどを比較してもらえばと思うが、パソコン画面で25%程度に縮小してしまえば、高感度になっても画質にはほとんど差が出ない印象だ。
特に常用感度はお勧めだけあって、D700でもD300でも安心して使える。D700で言えばISO 6400、D300で言えばISO 3200の画像を当倍で見ると確かに荒れているのだが、カラーバランスが極端に崩れたり、目立つ輝点ノイズが出たりはしないので、印刷するにしても画面で見るにしても問題はなさそうだ。ノイズリダクションをONにすると、粒状のザラつき感は低減されるが、シャープネスや立体感も多少損なわれる。
個人的にはD300のISO 3200とD700のISO 6400ではどちらがいいのか疑問に思っていたが、粒状性やダイナミックレンジなど全体的に見て、D700のほうが良好。このあたりの実力差は確実にある。
なおD700で増感するとパソコンの画面上で25%に縮小してもノイズがあるのを感じられるレベルになる。最高2万5600の感度でノイズリダクション処理をかけると、建物の外形にも気持ち変化を感じてしまう。使えない画ではないが、用途を限定したほうがいいと思う。
今回カメラマンの小林 伸氏に、ライブ会場にD700を持ち込んで、高感度撮影の実力も試してもらった。光量が足りず、とても条件の厳しい環境での撮影だが、センサーの素性のよさを感じさせる作例が撮れた。インプレッションに関しては、写真のキャプションを参考にしてほしい。
撮影協力:伝承歌劇団~エウロパの軌跡~。活動内容は公式ウェブサイトを参照のこと。
総合すると、D700には大型で重いがフルサイズにする価値は十分にあるなあという印象を持った。とはいえ、フルサイズ機を持つ資格を得るには、カメラの腕はもちろんだが、腕力と財力も試されているなあという感じ。なんとなく、男としての実力を試されている気がするが、無理して持つという覚悟が、写真の腕を上げるのかもしれない。