(株)ニコンから8月23日に発表された2台のフラッグシップデジタル一眼レフ機(関連記事)。11月の発売を目前に控え、読者の期待感も大いに高まっているところだろう。
今回は、ニコンDXフォーマット(APS-Cサイズ)採用の「ニコンD300」についてうかがった。D300は、ニコンFXフォーマット(35mmフルサイズ)採用の最上位機種「ニコンD3」と、設計面でも共通化されている部分が多いという。今回はカタログスペックには現われにくい使用感へのこだわりなどを中心に聞いた。
フラッグシップ機のみに許された視野率100%
── まずは「ニコンD300」のコンセプトとターゲットに関してお聞きしたいのですが。
中村 D300は「DXフォーマットの最上位機種」であり、「フラッグシップ機」であるという触れ込みです。これまでD2X、D200をお使いいただいていたお客様の両方にフォーカスを当て、それぞれのユーザーが持つ「異なるニーズ」に応えることを目指しています。購買層としては、ハイアマチュアが中心になると思いますが、現在D2Xsを利用されているプロの方々を含め、かなり幅広い層をターゲットにしています。
── フラッグシップ機として、もっともこだわったスペックはどこになりますか。
中村 大きく言って3つあると思います。まず一番分かりやすいのが、視野率100%のファインダーを搭載したこと。これは伝統的にフラッグシップ機のみに許されていた仕様です。2番目が耐久性で、15万回のレリーズテストをクリアーしたシャッターユニットを始めとして、かなりの高耐久性を実現できたと考えています。3番目がコマ速(連写速度)。D300では、バッテリーパックをつけた状態で秒間8コマの連写(EN-ELa・単3形電池使用時)が実現できています。
檜垣 D3に搭載されている最新の機能の多くは、D300にも搭載しています。その意味でも、双璧を成すフラッグシップ機と言えます。それでいて価格も抑えてあり、バッテリーパック(縦位置グリップ)なしであれば、D200のユーザーが手の届く価格となりますし、バッテリーパックを付ければD2Xsより安く、かつスペックアップとなります。
渡部 背面に3インチと大型かつ高精細な液晶パネルを装備した点も強調したい点ですね。ライブビューの機能を新たに追加したことで、スタジオで商品撮影をこなす際の利便性も上がっているはずです。また、コントラストAFを採用したこともアピールしたい部分です。
DXはFXの下位フォーマットではない
── D300はプロも視野に入れた製品というお話でした。FXフォーマット採用のD3とどう住み分けますか?
中村 D300は、企画段階からD3との共通化を強く意識しています。「両方を違和感なく使える」ということは、「用途に応じた選択ができる」ということにもなるんですね。「広角を重視する」とか「高感度の撮影が必須」といった場合にはD3を、「機動性の高さ」はD300といった感じで、相互に補完し合う使い方ができると考えています。
── 35mmフルサイズの「FXフォーマット」が登場しても、APS-Cサイズの撮像素子を利用する「DXフォーマット」の優位性は変わらないとお考えですか?
中村 はい。「システムとしてバランスの良さ」──つまり小型で高性能を求めるという観点で「DXフォーマットが最高である」という認識は変わっていません。FXフォーマットは、それに収まらないニーズに対応していくために必要であるというスタンスです。
── 従来のデジタル専用レンズ(DXレンズ)をFXフォーマットのD3に装着するとどうなりますか?
檜垣 デフォルトでは、本体のほうで自動的に、撮像素子の中央部分だけを使用するようにDXサイズに撮像範囲が切り替ります。また、本体のほうで自動的に切り替えない設定も選べます。