このページの本文へ

前へ 1 2 3 4 5 次へ

塩澤一洋の“Creating Reed, Creative Mass.──大公開時代の羅針盤” 第22回

塩澤一洋の“Creating Reed, Creative Mass.──大公開時代の羅針盤”

失敗の創造性

2008年10月19日 15時00分更新

文● 塩澤一洋 イラスト●たかぎ*のぶこ

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷


 しかしときにウェブは、社会のマイナス面をも増幅する。たとえば著名人が何か失敗をすると、それを非難しあげつらう言葉が飛び交い、その人を失意の底に陥れてしまう。ウェブの響きあいによって、プラスもマイナスも区別なく増幅してしまうから、それがマイナス面に表れたときの波は大きい。

 クリエイティブな方向に本領を発揮すべきウェブが、負のスパイラルの原動力となってしまう。非常に悲しいことだ。

 失敗を糾弾する雰囲気があると、人は萎縮する。新しいことに挑戦する勇気が、失敗への恐怖によって萎えてしまうのだ。それはとても残念なことである。

 ウェブを使う我々が失敗に寛容になったとき、ウェブは「失敗推奨装置」になる。創造性を高めるというウェブ本来の機能を発揮し、社会を豊かにしてくれるはずだ。


筆者紹介─塩澤一洋


著者近影

「難しいことをやさしくするのが学者の役目、それを面白くするのが教師の役目」がモットーの成蹊大学法学部教授。専門は民法や著作権法などの法律学。表現を追求する過程でMacと出会い、六法全書とともに欠かせぬツールに。2年間、アップルのお膝元であるシリコンバレーに滞在。アップルを生で感じた経験などを生かして、現在の「大公開時代」を説く。



(MacPeople 2008年4月号より転載)


■関連サイト

前へ 1 2 3 4 5 次へ

カテゴリートップへ

この連載の記事

ASCII.jp RSS2.0 配信中