このページの本文へ

平成20年度富士総合火力演習レポート(前編)

雨の御殿場に鋼鉄の虎を見た!

2008年09月08日 20時00分更新

文● 片田 本朔 / 写真と解説● 藤吉 隆雄・吉田/Webアキバ編集部

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

前段演習ヲ開始セヨ!

傾注!東富士演習場の配置はこうなっている!!

   当日会場に居た方は東富士演習場内の配置をご存じかと思うが、改めて場内の配置を紹介しておこう。

・目標地域説明図(会場で配布された「防衛ホーム」号外より引用)
三段山、二段山 距離約3000m。特科火砲、96式多目的誘導弾などの遠距離目標。
数字2~6の台 距離約1000~1800m。2の台が81mm迫撃砲や攻撃ヘリの機関砲など、3~6の台が戦車砲などの目標。
色の台。オレンジは距離約700mの87式偵察警戒車の25mm機関砲、青~白は距離約400~600m。機関銃、84mm無反動砲の目標。

・現場では荒天のためターゲットがよくわからない状態だったので、筆者が持ち込んだGPSから位置を把握し、Google Earthの画像を加工してみた。少しアバウトなものだが目標地点や演習場の配置を見てほしい。

当日場内で配布された防衛ホーム新聞より引用

片田氏が作成した俯瞰図


1015 東富士演習場・取材エリア 状況:雨
 天候は相変わらずの小雨だが、遠距離火砲の標的三段山はかろうじて見えている。晴天ならば目前に悠然と構えている筈の富士山が、全く姿を現さない。ここで前日、車中での会話を思い出す。

Y戦車部長「観覧車は見えないね」
藤吉カメラマン「アレどこの観覧車なんだろね」

 演習場に観覧車!? 快晴なら演習弾が飛び交う向こうに優雅に回る観覧車、というシュールな光景が見られたようだ。ちなみに観覧車は会場から5~6キロの距離にある遊園地「ぐりんぱ」のもの。標高日本一の観覧車だそうだ。


 ついに前段演習の始まりである。前段は主要装備の紹介なので個々の車両が順番に登場する。

防衛大臣政務官

防衛大臣政務官の武田良太参議院議員が臨場。昨年は守屋政務次官(当時)の臨場がアナウンスされた瞬間に会場にどよめきがおこったが、今年は特に盛り上がりもなし

あゝ 幻の航空火力

 まずは航空火力。なのだが、荒天のためF2支援戦闘機による支援爆撃は飛行制限で中止となった。もちろん全天候運用可能の機体だが、見学者の安全も考えれば致し方ないことである。
 航空火力の展示は予め地上にセットされていた爆薬が爆破されて終わった。米軍の基地祭では飛行音のみ流して「見えないステルス攻撃機でした~」というジョーク演出もあったが、実際の爆破があるだけで様相は異なる。筆者の脳内では爆炎の彼方にF2の雄姿が補完されていた。

支援爆撃

F2支援戦闘機は悪天候のため飛来せず。代わりに地上に設置した爆薬を爆破して、対地支援の状況開始。つまりは、F2戦闘機は飛来しても実際には対地爆撃はしないということ。ないとは思うけど誤爆したらシャレにならないし

「戦場の神」、遠距離火力の登場だ

 遠距離火力では、自衛隊最大口径の203mm自走榴弾砲を筆頭に、特科部隊の大口径火砲が登場する。目標は一番奥の標的となる「三段山」。各々の火砲を発射し、その後は一斉射撃を行なう。見どころは異なる火砲が時間差で射撃し、目標上空に同時に弾着という大技。見事成功し、隊員の技術の高さを証明した。
 締めは火砲21門を使い、同時着弾で中空に富士山を形どるという高等技術の披露。これも見事成功したのだが……、雲が低いため5合目ぐらいまでしか見えなかった。
場内では砲弾が目標に到着する寸前に「弾着、今!」という号令が流れる。炸裂の瞬間を見逃さないで済むので観客としてもありがたい。「Impact Now」とか「Hit Now」といった英語は使わない。
 引き上げの際にはFH-70が自走する姿を見せてくれた。本来はトラックなどの車両がけん引するのでこの姿は珍しい。
 なお、「戦場の神」とは大砲をロシア人がこう呼ぶことから。

99式自走155mm榴弾砲

99式自走155mm榴弾砲は2台登場。1台は車両長手方向向き、もう一台は写真のように車両側面向きの射撃を実施

105mm榴弾砲FH70

105mm榴弾砲FH70が自走して退場していく。他の装備の後をゆっくり走っていくので「そんなに遅くて大丈夫か!」といいたくなるが、通常は牽引されて移動する装備であり、陣地変換の要領を展示するためなので大丈夫

(次ページへ続く)

カテゴリートップへ

注目ニュース

ASCII倶楽部

ASCII.jpメール アキバマガジン

クルマ情報byASCII

ピックアップ