未完成でも移動できるが、なんか面倒
工事中で未通部分を含めた切符の販売のカラクリは、ズバリ「振替輸送」だ。代行輸送というと、日本での意味は、ある路線が不通や遅延となったときに、他の会社の列車やバスを、その会社の運賃を払わないで利用できる利用者補償措置だ。
上海の今回のシチュエーションでは、工事中の未通部分を専用のバスで運行するのだ。しかも専用レーンを作る徹底ぶり。
つまり地下鉄路線が全通する前から、工事中の部分を振替バスで補って「全通したことにしちゃいました!」というのがトリックの仕掛け。
例えるならば関東であれば、昔の西武有楽町線の未開通の新桜台⇔練馬間を、 開通前からバスで代替輸送するようなものなのだ。
バスによる地下鉄の振替輸送なのだから、数両編成の地下鉄から出て、駅から階段を上って地上に出て、1両のバスに乗ってぎゅうぎゅうに詰められ、1駅分だけ走り、そしてまたバスから降りて地下鉄駅の階段を上り下り。振替バスなんだから、それ以外の駅までもバスでタダで乗らせてもらいたいというのは贅沢な要望だろうか。
上海の振替輸送、日本とは逆転的発想ではあるけれど、運賃がセーブできる代償にものすごく面倒臭いのだった。
山谷剛史(やまやたけし)
フリーランスライター。中国などアジア地域を中心とした海外IT事情に強い。統計に頼らず現地人の目線で取材する手法で,一般ユーザーにもわかりやすいルポが好評。当サイト内で、ブログ「中国リアルIT事情」(http://blogmag.ascii.jp/china/)も絶賛更新中
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