東京・秋葉原は、ヒートアイランド現象のメッカだ。そこで、毎年夏にメイドさんと一緒に楽しく打ち水をして街を冷やすイベントを手掛けている団体をご存知だろうか? 都内の広告代理店で働く真田武幸氏(29歳)が代表を務めるNPO法人「リコリタ」だ。
そのリコリタは打ち水だけでなく、2006年にはヨドバシカメラでレジ袋による過剰包装を断ると、レシートにハンコをもらえる「MYメイドバッグ」というプロジェクトを行なったり、2007年には路上禁煙とポイ捨て禁止のマナーについての啓発活動「ご主人様は、No.1 スモーKING計画」を実施。秋葉原駅前でメイドさんたちによるタバコのスマートな嗜み方のお願いと、携帯灰皿の限定配布を行なった。
そんなリコリタが、6月19日に、秋葉原で行なう楽しいエコ・アクションを考える「第2回秋葉原環境会議」を開催し、代表の真田氏がリコリタの活動を紹介する基調講演を行なった。
同会議のゲストには、関 幸子(秋葉原タウンマネジメント専務取締役)、ハッタケンタロー(環境エンタメプロデューサー)、鈴木菜央(グリーンズLLP代表)、稲船敬二(ダレット代表取締役社長)、深野暁雄(神奈川工科大学教授)の各氏が招かれた。誰もが社会問題をビジネスによって解決しようとする「社会起業家」の面々だ。
秋葉原のある千代田区、区民、地元企業などと連携し、秋葉原の安心と安全を高め、街に笑顔を創出する「Akiba Smile プロジェクト」を手がける関氏は、清掃とパトロールを毎週行なうボランティアに参加するよう呼びかけた。
深野氏は仮想空間の「秋葉原」でエコ・アクションをしたら、それが現実の秋葉原にも実際に行なわれるといったオンライン/オフラインを連動させたアクションの可能性を示唆。
もっとも、実際に仮想空間のコミュニティを運営する稲船氏によると、ユーザーがあらかじめミッションの情報をある程度共有し、仲間と一緒に街を作り上げていくような仕掛けがないと、「日本人はまったくの他人となかなか一緒には動かない」という。
また、世界中のエコ・ニュースを配信するgreenz.jpの編集長・鈴木氏からは、「不況時代のイギリスでは荒れ果てた土地に車から種まきしてしまう『ゲリラ・ファーミング』をしていた若者がいましたよ」と大胆なアイデアも飛び出した。その後、「ゲームでできるエコ・アクションを考える」をテーマに話を詰めていき、会議は終了した。
従来の発想や仕組みでは行き詰ってしまった社会問題を、まったく新しい仕組みやビジネスモデルを開発することで解決するのが、社会起業家の仕事だ。政治や行政が解決できずにいる社会問題こそが、今日では巨大な市場になっている。