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塩澤一洋の“Creating Reed, Creative Mass.──大公開時代の羅針盤” 第7回

塩澤一洋の“Creating Reed, Creative Mass.──大公開時代の羅針盤”

発達と発展

2008年07月06日 15時00分更新

文● 塩澤一洋 イラスト●たかぎ*のぶこ

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 またMac OSは、21世紀になってからだけでも5つのメジャー・バージョンがリリースされている。いずれも、その時点における先進的な機能を備え、エキサイティングで洗練されたアイデアが具現化されている。

 アップルはWindowsの存在を十分に意識しているから、WWDCでのキャッチコピーもイカしている。'04年のWWDCでTigerを発表したときは、「Redmond, start your photocopiers.」だったし、'06年にLeopardを発表したときは、「Redmond has a cat, too. A copycat.」だ。それぞれ、「(マイクロソフト社の所在地)レッドモンドさん、コピー機のスイッチを入れてね」、「レッドモンドにも(レパードと同じ)ネコ科の動物がいるよ。コピーキャット(マネ猫)さ」という意味。

 アップルは、マネされることを重々承知している。マネされることを恐れるのではなく、どうぞマネしてくださいといわんばかりだ。マネを寄せ付けないほど独創的なものを作る一方、斬新なデザインによって業界に次々と新たなムーブメントを巻き起こしてきた。

 トランスルーセントとか光沢ホワイトといったマテリアルをはじめ、iPodのシルエット広告がそれだ。そしてマネが広まるころにはまったく新たなものを出すことによって、次のステージに前進する。それが業界を牽引する先進性を支える、アップルの生き方なのだ。iPodにしてもiTunes Storeにしても、すべてこの方法で市場を切り開き、後続を寄せ付けない輝きを放ち続けている。

 実はここに、知的財産の本質を理解するエッセンスが含まれている。アップルのプロダクツを念頭に置きながら、特許と著作権というまったく異なるふたつの制度の接点を探ってみよう。


(次ページに続く)

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