作品から引き出される味わいが増えた
── DVD版の「逆襲のシャア」も確かにきれいだったんですが、BD版になるとセルを重ねている様子とかも手に取るように分かりますね。作品が実際にどういう風に作られているのかまで、丸裸になるというか。
麻倉 意図という意味では「宇宙の深遠さ」とか、その中で戦っている主人公たちの「アクティブさ」とか、そういうものが伝わってきた。それからやはり色が非常にきれいなんです。彩度感の高い原色の中にディレクターのインテンション(意図)とかエモーション(感情)が秘められていると思うんですね。
こういう色の深さとか種類に関してもDVDは全然伝えてないんです。それらしい雰囲気は伝わるんだけど、ホンモノではない。色というのは作品の思いであり、監督の思いであり、もっと言うと、主人公の思いだと思うんですよね。それがBD版で初めて感じられた。
われわれはそれを思うことができて、この作品ってこんなに深い意味があったのか、別の楽しみがあったなと思う。作品から引き出される味わいが、ものすごく増えたなと感じましたね。
画素が6倍、感動も6倍
── 単純に画素数が増えただけではなくて、それによって感動の度合いが増すところに意味があるということですね。
麻倉 DVDとBlu-rayでは画素数が6倍(33万画素に対して207万画素)違いますよね。Blu-rayが発表されたときに、「感動チャート」というものを作ったんですよ。(主観的なものですけど)256ぐらいの目盛りがあって、VHSは20ぐらいで、DVDが40ぐらい。2006年に出たBDは256ぐらいだなと。
作ったあとで、よくよく考えてみたら画素数と同じ6倍だなと。感動の度合いは画素数に比例するんだ、と。ただ、画素数が多くても、小さい画面ではあまり意味がないんですね。
感動の量には画面の大きさも関係してくるんですよ。画素数だけじゃなくて、画面の大きさの中にどれだけの情報量があるか、精細さだけでなく、色があって、コントラストもあると。これらがトータルになって、感動するわけですから、
例えば、これからはワンセグケータイもフルセグになる。でも、いくら画素が増えても小さい画面じゃ感動しません。私がよく言うのは、ハイビジョンで単に画が細かくなったんじゃなくて、情緒とか感情とか感性とかにまつわるものがすごく増えて、それが感動につながっているということです。
もうひとつ重要なのは、画面が大きくなったことによる臨場感効果です。でも、画面が大きくなって臨場感が増えても、画素が少ないとウソっぽい画になってしまう。つまり、画面が大きくて、近接視聴で、情報量が多い。この3つの要素があいまって、われわれを感動の世界にいざなってくれる。ここがハイビジョンのすごいところです。
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