テレビは「放送中の番組」を見るもの。その同時性がひとつの特徴だった。しかし、タイムシフトの登場や、ネットワーク機能によって、テレビのあり方が変わってきている。同時に、テレビに表示するコンテンツにも変化が見られる。Blu-ray Discに代表される高画質なパッケージメディアに加え、高画質のビデオ配信や、パソコンとの連携、モバイルでの視聴など、さまざまなコンテンツを楽しむスタイルが増えてきた。
2009年テレビはどう進化していくのか。次世代のテレビに求められる条件とは? そんなテーマを設定し、オーディオ・ビジュアル・ホームシアターのポータルサイト「Phile-web」とITとデジタル製品を扱う「ASCII.jp」の合同座談会が実現した。
この座談会の内容は、音元出版のウェブサイト「Phileweb」でもごらんいただけます。異なる視点でまとめられた記事をお楽しみください。
高画質配信につきまとう、回線速度の問題
── 今回はテレビとネットワークのあり方を一度考えてみようと考えて、皆さんに集まってもらいました。
鳥居 使ってみて、アクトビラは面白いサービスだなと感じました。思っていた以上にいろいろなサービスが載っているし、使いやすい。進化すれば、レンタルビデオを駆逐できるんじゃないか、そのぐらいの気持ちで捉えています。ただし、フルHDを再生するのに、ADSL程度の環境では厳しい。5Mbps程度の実効速度では、コマ落ちが生じてしまいます。光回線の普及次第という面があるかもしれませんが、自宅のような集合住宅だと、住民全員を説得しなければいけない(笑)。
一条 米国には「CinemaNow」というサービスがありますが、大容量のビデオコンテンツはストレージして見るのが主流になっていくでしょうね。レコーダーでもアクトビラダウンロードに対応した機種が増えてきました。HDDやBDに保存する環境が整いつつある。ソニーの「BDZ-A950」や「BDZ-A750」は、(HDDに保存した録画データをウォークマンやPSPに転送する)「おでかけ転送」機能を搭載していますが、可能性を感じます。
とはいえ最終的には、ユーザーが何を求めて導入するかにかかっています。例えば、「ハイビジョンはダウンロードして見たほうがいい」と分かっていれば、そういう機能を持つ製品やサービスの中から選択すればいい。しかし、現状ではそこまで考えない人のほうが多いでしょう。デジタルAVに対する一般の方々の理解はまだまだ足りないと感じています。だから、メディアはいろいろと紹介していくべきです。
鳥居 テレビでもアクトビラのCMが流れていますよね。ただ、そこで回線事情のことは触れられていない。(同じようにインターネット経由で番組を見る)「ひかりTV」なんかは、ダジャレ混じりに「光を差せ」といっていますが、まだまだ周知が足りていないと感じる面はありますね。アクトビラのサービスは、今のところ分かっている人向けなのでいいと思いますが、ある程度普及した、その先で不満を感じる人が出てくるかもしれません。