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苦労は2倍、しかしこだわれる──ペンタックス「K20D」と「K200D」の開発者に聞く(前編)

2008年03月28日 18時12分更新

文● 小林 伸(カメラマン)

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さまざまなレンズに対応できるマイクロレンズを



── 要求仕様を固める以外に、ペンタックスが担当したことはあるのでしょうか?

平井氏

絵作りに関わる部分を担当した平井氏

平井 マイクロレンズの仕様検討もしています。ペンタックスの一眼レフの特徴のひとつに、使用できるレンズの種類が非常に多いことが挙げられます。古いレンズも含まれているのですが、焦点距離やFナンバー、絞りの配置など、光学的な性能はまちまちです。

 例えば、当社のDAレンズは「テレセン性」を考慮した設計(レンズの射出光がほぼ垂直に撮像素子に入る設計)ですが、撮像素子に対して斜めに光が入ってくるようなレンズに対してはどうするんだとか。そういうことも考えなければなりません。汎用性を持たせていこうと考えた場合、どこらへんを落としどころにしていくかには苦労しました。


── Kマウント用のアダプターは充実しているから、私のように「PENTAX 67」シリーズ用のレンズを付ける人もいるでしょうし……(笑)

平井 望遠鏡を装着しているという人も多いと聞いています。

── 開発者としては汎用品を社外から取り寄せて作るよりも、自分たちの意見が反映されたセンサーを使うほうが楽しいものなんでしょうか。

堀田 汎用品を買うより大変になりますが、やりたいことができるんで、面白いですね。これをやればよくなるんじゃないかというのを提案して、それを盛り込んだものが上がってくる。苦労が倍に増えても、いいものを作りやすくなりますね。

畳家 ただし進行状況を横から聞く立場としては、ヒヤヒヤする面もありました。ある程度、カメラとして形になっていたはずなのに、開発から「細かな調整を含めてやり直さないといけない」と報告を受けた。「なんでそんなことになったの?」と聞くと、「撮像素子の特性が変わったからです」という回答があったり……。


── それは大変そうですね。K20DはCCDではなく、CMOSイメージセンサーを採用していますが、利点はどのあたりにありますか?

堀田 S/N関係でメリットがあると考えています。ケース・バイ・ケースですが、消費電力も抑えられ、電池の持ちも良くなった。ライブビューを実現しやすいというのもCMOSにした恩恵のひとつです。

── サムスングループとの共同開発は今後も継続していきますか。

畳家 まずすべてのモデルをこのアライアンスで作っていくわけではありません。K20Dのセンサーは、このカメラのために作られているので、非常に高価なんです。画質を最優先に考えるなら、迷わず今回のようなやり方を選びますが、そうでない選択もありうる。今までは汎用品しかなかったわけですが、それぞれのモデルに合わせた選択肢が増えたということです。

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