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エンジニア進化論 第10回

第10回 あらゆる問題の原因をつきとめる~切り分け~

2008年01月25日 13時02分更新

文● 中山康照

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 読者の方々は「問題の切り分け」という言葉をご存知でしょうか? サーバやネットワーク管理などを仕事にしている人間にとって身近であろうこの言葉は、システム障害発生時の原因を特定する方法です。

 たとえばサーバ管理におけるトラブルの場合なら、ユーザーから「ホームページにアクセスできない」などの連絡があり、その対応としてまず「他のFTPやメールなどのサービスは利用できるか?」、できるなら「pingは通るのか?」「サーバーの容量はいっぱいになっていないか?」と次々に調べていくでしょう。つまり、全体の中から問題のない部分を切り分けていけば、実際に原因となっている箇所を特定できるというわけです。

 しかし、この切り分けという方法は何もシステム管理の現場だけではなく、他の仕事の場の問題発生時にも活用できる仕事術と言えます。その一例が「プロジェクト管理で進捗上問題が発生した」です。プロジェクト管理の問題の場合、その原因を探るためにはまず関係者が集まり、現在の状況を各自報告し合うということが必要となるでしょう。そこでまず1つ1つのトピックを挙げ、メンバーの中で整理していきます。その上で、問題となっている要因を特定(切り分け)し、その改善を目指すのです。サーバなどのシステム管理における切り分け方法を、今度は人一人ひとりの働きや考えていることも「切り分けていくべき対象」として活かすことができるというわけです。個々のメンバーの認識を1つ1つ確認していくことが問題解決への道となります。

 また、この切り分けの“応用”でもっとも重要なことは、システム管理の切り分けと同じく、いかに早く問題(障害)に気付けるかという点でしょう。それには、当然問題が発生していないとき、つまり普段の状況をきちんと認識しておくことが大切です。普段の状態を把握していることで、小さな変化(問題発生の兆し)を見つけることができ、原因が分かりやすい時点での解決が図れます。おすすめは仕事の普段の内容や人やそのパフォーマンスについて、きちんと記録をつけておくことです。そうすれば、問題発生時には普段と違う点を1つ1つチェックすることで、切り分けられるでしょう。

 最悪であり、ありがちなのはすでに問題が発生しているのに、そのことに気が付かないことです。気が付いたときには問題が深刻になっていたり、よりいっそう原因が特定しにくくなっていたりと、非常に面倒なことになります。早い段階で問題に早く気が付くことできれば、それだけ「切り分け」による原因の特定は容易になるものです。

Illustration:Aiko Yamamoto

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