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独立すれば、キラリと光る SEのための起業塾 第3回

第3回 新会社法施行後の新発想 独立形態の選択は、起業の成否を分ける

2007年06月05日 00時00分更新

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■LLP
 LLPは、2005年8月から始まった制度です。LLPとは「Limited Liability Partnership」の略で、日本語では「有限責任事業組合」といいます。LLPは、共同事業(ジョイントベンチャー)として複数の会社・個人が組んで設立するケースや事業協同組合等の組合組織に似た形態ながら、設立が簡単なため「規模の小さい組合を作りたい」といった場合などが考えられます。

特徴としては

1.出資者の有限責任

2.内部自治の自由

3.構成員課税(パススルー課税)
 組織が獲得した利益に対する課税が組織の段階では行なわれず、その構成員、すなわち出資者の段階でのみ行なわれること

4.設立が簡単

5.法人格なし

6.株式会社への組織変更不可能

7.2人または2法人以上で設立可能

などがあげられます。

 LLPのメリットは、有限責任や内部自治の自由に関する限りLLCと同じです。そこでLLCと比較したとき、最大のメリットとなるが「構成員課税(パススルー課税)」です。

 LLPは法人格ではないので、法人税を払いません。その変わり、組合員が配当額を自分の所得として課税所得を算定し、税金を納めることになるため、2重課税を回避できるのです。

 しかしLLCと違い、事業が順調にいったからといって、あとから株式会社への組織変更ができないので注意が必要です。

  • LLPのメリット
  • ・有限責任
  • ・内部自治
  • ・設立が簡単(安い)
  • ・構成員課税(パススルー課税)
  • LLPのデメリット
  • ・株式会社への組織変更不可能

 以上の特徴から判断できるのは、LLCおよびLLPの起業が、技術や知識を持ったスペシャリストに適してるということです。

 まず、個人事業形態にはない有限責任や、スキル次第で収入に反映できる内部自治がああります。また、いずれ事業規模を拡大させるために、株式会社へ組織変更を検討したいならLLCという選択、LLPであれば税金におけるメリットも享受できるでしょう。

 さて、下記は法人形態の違いについての簡単な一覧です。それぞれを比較検討しながら、ぜひ自分にあった起業形態を検討してみてください。

起業形態の比較

起業形態の比較(画像クリックで拡大)

起業形態の比較

奥山 睦氏

著者 奥山 睦
株式会社ウイル代表取締役。
財団法人社会経済生産性本部認定キャリア・コンサルタント、メンタルサポーター。
独立行政法人中小企業基盤整備機構経営支援アドバイザー。
厚生労働省女性起業家支援検討委員として、女性起業家支援ポータルサイトの立ち上げに携わる。
大学、自治体などで数多く「起業論」を担当。
キャリア・コンサルタント有志によるキャリア開発専門サイト、「ウーマンズキャリアナビ」運営。現在「キャリアコンサルティングルーム」をスタート。


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