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スマホメーカー栄枯盛衰~山根博士の携帯大辞典 第103回

ノキアとインテルが生み出したスマホ第3のOSを受け継ぐJolla

2018年08月12日 17時00分更新

文● 山根康宏

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 Jolla(ヨラ)はスマートフォンOS「Sailfish OS」を手掛ける企業。元をたどればノキアからスピンアウトした企業です。同OSはXperiaなどのAndroid OS端末向けのパッケージも提供していますが、Jolla自らもスマートフォンを手掛けていました。スマートフォンOSの第三勢力でもあるJollaの歴史を振り返ります。

ノキアとインテルが生み出したOSを引き継ぐ

 Jollaは2011年にフィンランドで生まれた企業です。Jollaの設立はノキアでMeeGoプロジェクトを手掛けていたスタッフたちによるものでした。Jollaが手掛けるスマートフォンOS「Sailfish OS」も、元をたどればノキアが開発していたものです。

 ノキアは2005年にインターネットタブレット「Nokia 770」を発売します。携帯電話回線は内蔵せずWi-Fiのみを搭載し、4.13型の大型ディスプレーを搭載。スタイラスペンによるタッチ操作が可能で、Linuxベースのモバイルデバイス向けの次世代OS「Internet Tablet OS」を搭載しました。当時ノキアがスマートフォンに採用していた「Symbian OS」を将来は置き換えるものとして開発されたのでしょう。このOSはその後「Maemo」と名を改められ、2009年には携帯電話回線を内蔵するスマートフォンとして「N900」が発表されます。iPhoneとAndroidデバイスが次々と登場する中、Maemo は当時スマートフォンシェアNo.1のノキアが反撃できる端末になるはずでした。

 2010年2月にはインテルがモバイル向けに開発していた「Mobilin」とノキアのMaemoの統合が発表され、新たに「MeeGo」となりました。ノキア・インテル連合のMeeGoでアップル、グーグルへの対決を明確なものとしたのです。特にスマートフォンへの本格的な参入をうかがっていたPCメーカーにとっても、MeeGoは救世主になるはずでした。

 ところが翌2011年2月にノキアはマイクロソフトとの提携を電撃的に発表。スマートフォンOSをSymbianから「Windows Phone」へ移行することを決定します。これによりMeeGoのプロジェクトは結果を出す前に終了してしまいました。

お詫びと訂正:記事初出時、記載の一部に誤りがありました。訂正してお詫びします。(2018年8月15日)

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