初のAndroidスマホやWindows Phoneも多数展開したHTCのチャレンジ期
2016年11月20日 12時00分更新
Windows Mobile時代から多数のスマートフォンを手掛けてきた台湾のHTC。
世界初のAndroid端末も同社の製品でした。高い技術と開発力を持つHTCのスマートフォンは、これまでに数々の名機を生み出してきました。そんなHTCの過去を振り返ってみましょう。
ODMから始まった事業
超ハイスペックなWindows Mobile機の開発で一躍脚光を浴びる
HTCの創業は1997年と、いまでは老舗と呼べる歴史を持っています。当初の社名は「High Tech Computer Corporation」で、HTCはそれぞれの頭文字となります。
しかし、最初からHTCのスマートフォンが世の中に登場したわけではありません。HTCは他社向けのノートPCやPDAを開発製造する、いわゆるODM(Original Design Manufacturing)メーカーとして発足し、HPの「iPAQ」など数々の名機を手掛けてきました。
2000年代前半のモバイルOSの争いは、ノキアが採用するSymbian OSが強く、iPAQなどが採用するWindows Mobile(当時はWindows CE)、そしてザウルスの採用したLinux OSが追いかけるという三つ巴の戦いを行なっていました。
このうちSymbian陣営は当初から携帯電話機能を搭載し、単体での通信が可能でした。これに対してWindows Mobile、Linuxは多くがWi-Fiモデルでした。
当時は赤外線やBluetoothを使い、携帯電話をモデムとして通信するという使い方か、街中にわずかにあるホットスポットで通信するという、今から考えるとやや不自由な方法で通信していました。
年々拡大するスマートフォン需要に対し、Windows Mobile陣営の端末は2004年ころから急激に数を増やしていきます。HTC製の端末で当時有名だったメーカー名はi-Mate、O2、Dopodなど。
O2はイギリスのキャリアでしたが、そのキャリアブランドを冠したスマートフォンを世界各国で販売していたのです。このころもまだHTCは裏方に徹し、自社ブランドのスマートフォンを販売はしていませんでした。
そんなHTCの存在を一躍有名にしたのが、2005年登場の「HTC Universal」(開発コード名)です。最新のWindows Mobile 5.0 OSを搭載し、ディスプレーを開くとQWERTYキーボードが現れる形状でした。
そのディスプレーは、当時としては巨大な3.6型、解像度も640×480ドットと高く、さらにはディスプレーを反転して畳めばタッチパネルを表にして使える形状に早変わりするという優れた製品だったのです。
当時のSymbian OSスマートフォンがコンシューマー向けの製品色を強めていたのに対し、このUniversalはビジネスユーザー向けの、ノートPC代わりにもなりうるハイスペックな製品として登場し、製造メーカーであるHTCへの注目が急激に高まったのでした。
このUniversalもHTCからの販売は無く、i-Mateからは「Jasjar」、O2からは「XDA Exec」、Dopodは「Dopod 900」など、さまざまなメーカーから独自型番のモデルとして販売されたのです。
なお、OrangeやT-Mobileなど、通信キャリアでの採用も進みました。3Gにも対応し高速通信が可能なことから、海外在住の日本人モバイラーの間でも大きな人気製品となったのです。
翌2006年から、HTCブランドのスマートフォンが世の中に登場します。しかも、ラインアップは非タッチパネルディスプレーを搭載し10キーを備えたキャンディーバー型。スライド式の横QWERTYキーボードを備えるUniversalのマイナーアップグレードスタイル。
さらに、ディスプレーの下にQWERTYキーボードを配置したBlackBerry型。スライドせずにタッチパネルだけを備えた製品と、4つのフォームファクターの製品を一気に投入したのです。
これらの製品は前述したODM供給先の各社からも登場しました。日本でもNTTドコモから「hTc Z」、ソフトバンクから「X01HT」が相次いで発売され、ビジネス市場向けの製品としてiモードなど携帯インターネット機能は非搭載のまま、OSにはほぼ手を付けない状態で投入されたのです。
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