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アスキースマホ総研・白書 第14回

どのカードが使える? なぜこのカードは使えない? Apple Payスタート講座 (1/2)

2016年11月16日 10時00分更新

文● 小山安博、アスキースマホ総研 編集●ASCII.jp

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このカード使える? 使えない?
Apple Payに対応したカード、教えます

 10月25日、いよいよアップルの決済サービス「Apple Pay」がスタートした。日本ではFeliCaを利用した独自のApple Payサービスとなっており、海外で使われるNFC Type-A/Bを使ったApple Payとは互換性はないが、国内で使う分には、JR東日本のSuicaサービスにも対応し、駅の改札を通過できるなどのメリットがある。

 Apple Payは、MUFCカード、DCカード、American Expressカードなどを除く、主要なカード会社が発行した多くのクレジットカードに対応している。ただし、対応クレジットカードでもカードブランドがVISAの場合は、iPhone 7/7 Plus、Apple Watch Series 2にのみ追加できる。

 店舗で支払いをしたり、JR東日本のSuicaを追加して改札を通過できるのはFeliCaを搭載したiPhone 7/7 Plus、Apple Watch Series 2だけ。iPhone 6s/6s Plus、iPhone 6/6 Plus、iPhone SE、iPad Pro/Air 2/mini 4/mini 3の場合、端末内のアプリやWebサイトでの支払いには利用できる(国内発行のVISAを除く)。

 Apple Watch Series 2は店舗、改札、アプリで利用できるが、Webサイトの支払いには使えない。iPhone 5以降とペアリングしたApple Watch Series 1及び第1世代はアプリ内での利用のみ。2012年以降に発売されたMacではWebでの支払いにのみ対応する。

  IC決済(QUICPayまたはiD) アプリでの利用 ウェブ上での利用 Suica
iPhone 7
(利用するカードがVISAの場合) × × △(Suicaアプリからのチャージは可)
iPhone 6s/6/SE、iPad Air 2/mini 3以降 × ×
(利用するカードがVISAの場合) × × × ×
iPhone 5以降+Apple Watch Series 2 ×
(利用するカードがVISAの場合) × × △(Suicaアプリからのチャージは可)
iPhone 5以降+Apple Watch × × ×
(利用するカードがVISAの場合) × × × ×

なぜVISAカードが使えないのか?

 しかし、「VISA」ブランドの扱いが難しい。国際カードブランドとしてのVISAは、日本のApple Payには参加していない。VISAは海外で提供されているApple Payには参加しており、VISAの決済ネットワークを通じてApple Payが利用できる。ところが、日本ではVISAの決済ネットワークが利用できないので、本来はVISAブランドのカードは使えない。

 国際カードブランドというのは、クレジットカードの決済をするために必要な仕組みを提供しており、カード発行会社(イシュアと呼ばれる)が発行するクレジットカードは、VISA、MasterCard、JCBなどのブランドのネットワークを利用することで、初めて決済が可能になる。

 特にVISAとMasterCardは、ブランド業務と決済システムなどの一部の機能しか提供せず、クレジットカードを自社内で発行はしていない。契約に基づいて、実際のクレジットカードを発行する企業がイシュアで、ユーザーが利用するクレジットカードは、三井住友カードやオリエントコーポレーション(オリコ)などが発行したもの。例えば「セゾンVISAカード」や「セゾンJCBカード」の場合、イシュアはクレディセゾンになる。また、決済時にはVISAやMasterCardの決済ネットワークが必要になるため、クレジットカードを利用するためには、その店舗が各国際ブランドに対応していなければならない。

VISAカードでも対応カードなら
iD/QUICPAY経由で決済できる

 ところが、日本のApple PayではVISAが利用できない。そこで活用されるのがiD、QUICPayだ。VISAブランドのカードをApple Payに登録すると、iDまたはQUICPayのバーチャルカードが発行される。このバーチャルカードは、本来のクレジットカード番号とは異なる「デバイスアカウント番号」に変換され、その番号はiD/QUICPayとして認識される番号になる。これがそれぞれの決済ネットワークを通って各クレジットカード発行会社に送られ、そこで元のクレジットカード番号と紐付けられる。

MUFCカードは今のところ使えないが、近日中に対応するとアップルのサイト、三菱UFJニコスのサイトの両方に記載されている

 実際のカードはVISAブランドではあるが、決済時にはVISAではなくiD/QUICPayとして認識され、国内の決済ネットワークを通るので、VISAブランドのカードも利用できる、ということになる。このiD/QUICPayへの変換は、店舗での非接触決済の際に使われる。そのため、Apple Payにクレジットカードを登録すると、2つのデバイスアカウント番号が生成される。1つは非接触決済用で、もう1つはオンライン/アプリ内決済用の番号だ。

 こちらは、それぞれの国際ブランドが利用され、例えばMasterCardはトークナイゼーションと呼ばれる仕組みを使ったトークンがデバイスアカウント番号として使われる。同様にJCBも問題はないが、ここでVISAが参加していないことが影響してくる。VISAのシステムが使えないため、デバイスアカウント番号が発行されず、オンラインやアプリ内の決済ではVISAブランドのカードが利用できない、という訳だ。

オンラインデバイス番号がiDとMasterCardの2種類用意されている。MasterCardはトークナイゼーションを使っているが、iDは番号変換をしているものの、トークナイゼーションではないようだ

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