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連載:今週の「ざっくり知っておきたいIT業界データ」 第119回

IT市場トレンドやユーザー動向を「3行まとめ」で理解する 1月20日~1月26日

経営層よりも社員がAI導入を不安視する理由、サイバー攻撃で企業収益は平均7%損失、ほか

2024年01月29日 08時00分更新

文● 末岡洋子 編集● 大塚/TECH.ASCII.jp

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 本連載「ざっくり知っておきたいIT業界データ」では、過去1週間に調査会社などから発表されたIT市場予測やユーザー動向などのデータを、それぞれ3行にまとめてお伝えします。

 今回(1月20日~1月26日)は、サイバーセキュリティによる企業の損失規模、国内データセンターのAIサーバー向け電力規模、国内データ・カタログ市場の成長、AIの業務導入に対する経営層と社員との意識差、なりすまし攻撃に悪用されたブランドについてのデータを紹介します。

[セキュリティ]サイバー攻撃で企業は収益の平均7%を損失している(Fastly、1月22日)
・過去12ヶ月間で、サイバー攻撃による金銭被害は平均で収益の7%(世界9%)
・サイバーセキュリティ予算を増加させる組織は60%(世界76%)
・40%(世界51%)が今後2年のうちに「生成AIに投資」

 世界の大規模組織のIT責任者1400人以上を対象に、組織のセキュリティ関連の投資や計画などについて調べた「グローバル・セキュリティ・リサーチ・レポート」より。過去1年のサイバー攻撃による被害としては「金銭」(平均で収益の7%)、「ネットワーク停止」(日本7%、世界9%)、「データ損失」(日本24%、世界29%)など。生成AIについては、人手不足の解決策として40%(世界51%)が今後2年のうちに投資すると回答。また今後1年間のセキュリティ対策として、トップに「AIのセキュリティ」を挙げる組織が24%(世界37%)だった。

[AI][データセンター]国内データセンターのAIサーバー向け電力キャパシティ、2027年は80メガワット超へ(IDC Japan、1月22日)
・国内データセンター内AI向け電力消費は約60メガワット
・2027年末は2024年末の約1.5倍、80メガワットを上回ると予測
・超高密度環境、液冷方式の採用なども進む可能性

 国内データセンターのAIサーバー向け電力キャパシティの推計値。積極投資のシナリオの場合、2027年末時点のDC電力は2024年時点の約1.5倍と予想する。ハイパースケールDCの2~3棟分に相当する規模になることもわかった。AIサーバーは従来のDC冷却システムでは対応が難しいと言われるが、積極投資のシナリオでは2027年末時はサーバーラックあたりの電力が20キロワットを超える超高密度環境となり、液冷方式など新しい技術の導入が進む可能性があると予想している。

国内データセンターにおけるAIサーバー向け電力キャパシティの推計値、2027年末は2024年末時の1.5倍を予測(出典:IDC Japan)

[データ]2022年度のデータ・カタログ市場は前年比17%増(アイ・ティ・アール、1月25日)
・2022年度のデータ・カタログ市場は前年度比17%増
・2023年度は前年度比15%増を予想
・2022年~2027年度までCAGR18%で成長を予想

 国内データ・カタログ市場は2022年度、前年度比17.6%増加し8億円となった。データ活用に向けて組織内のデータを一元的に管理し、品質を確保するデータ・カタログなどのツールの高まりがあり、2023年度も前年度比15%増を予想している。市場は2022年から2027年まで年平均成長率(CAGR)18.3%で成長するとみている。

データ・カタログ市場は2027年まで堅調に推移すると予想している(出典:ITR)

[AI]企業社内のAI利用は経営層より現場社員の方が不安視(ワークデイ、1月23日)
・「AIを積極導入すべき」と考えるビジネスリーダーは62%、社員は52%
・42%の社員が「完全自動化すべき/人間が介入すべきシステムを自社は把握できていない」
・「自社は、AI導入による利益より社員の利益を優先すると思えない」が23%

 日本を含む世界15カ国のビジネスリーダー1375人、社員4000人を対象に、企業におけるAI活用について意識をたずねた。「積極的にAI導入すべき」と考えるビジネスリーダーは62%を占める一方で、社員は52%。また「AIを責任と信頼性のある形で導入できる」も同 62%/55%となり、社員のほうが不安視している傾向がうかがえる。人間の介入については、ビジネスリーダーの70%が「人間によるチェックと介入がしやすい形で開発すべき」としたが、社員の42%が「どのシステムを完全自動化すべきか、人間を介入させるべきか、自社は把握していない」と見ている。

[セキュリティ]2023年第4四半期、なりすまし攻撃で最も悪用されたブランドは「Microsoft」(チェック・ポイント・ソフトウェア・テクノロジーズ、1月22日)
・2023年第4四半期、「Microsoft」が利用されたブランドフィッシングは全体の33%
・2位は「Amazon」、3位は「Google」とテクノロジー企業が標的に
・SNS、銀行業、年末商戦に伴う消費支出を狙って運送業者や小売もターゲットに

 2023年第4四半期、個人情報などの窃取を目的になりすまされたブランドを調べたブランドフィッシングレポートより。同期、なりすましに使われたブランドトップは「Microsoft」で、33%を占めた。例えば、メールアドレスの認証が必要として認証用と見せかけた悪意あるサイトに飛ぶリンクを貼ったものなどが検出されたという。Microsoft以下のトップ5は「Amazon」(9%)、「Google」(8%)、「Apple」(4%)、「Wells Fargo」(3%)。

「Microsoft: Verify your email address」という件名で届いたなりすましメールの例(出典:チェック・ポイント・ソフトウェア・テクノロジーズ)

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