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連載:今週の「ざっくり知っておきたいIT業界データ」 第22回

IT市場トレンドやユーザー動向を「3行まとめ」で理解する 2月26日~3月4日分

職場では“負の感情”も伝えるべき?、バーチャルイベント市場急成長、義援金詐欺に注意、ほか

2022年03月07日 08時00分更新

文● 末岡洋子 編集● ASCII

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 本連載「ざっくり知っておきたいIT業界データ」では、過去1週間に調査会社などから発表されたIT市場予測やユーザー動向などのデータを、それぞれ3行にまとめてお伝えしています。

 今回(2022年2月26日~3月4日分)は、社内外との資料共有手段、企業間契約の実印使用率、バーチャルイベント市場の成長、仕事と感情、ロシア-ウクライナ紛争によるサイバー空間情勢の変化に関するデータを見てみましょう。



■[セキュリティ][DX]資料共有手段はまだ「メール添付」が主流――社外は66%、社内は18%(2月28日、Dropbox Japan)
・社外との資料/ファイル共有では66%が「メール添付」
・社内の資料共有手段は「ファイルサーバー」が57%
・「全社的にクラウドサービスを利用中」の企業は57%、「禁止」は13%

 日経クロステックActive読者の有職者200人を対象に「資料共有やファイル転送に関する実態調査」として行った調査。期間は2021年6月末から1ヶ月間。社内の資料共有手段は「NASを含むファイルサーバー」が57%、次いで「メール添付」が18%、「パブリッククラウドを介して共有」は9%だった。一方で、社外との共有では電子メールが66%でトップ。ZIP暗号化してメールに添付し解答パスワードを別送する“PPAP”は、セキュリティの観点から廃止する企業や組織も増えているが、それでも根強く使われていることが浮き彫りに。

社外との資料/ファイル共有では「メール添付」が最多の手段。企業規模に関係なくトップとなっている(出典:Dropbox Japan)

社内の資料/ファイル共有は「ファイルサーバー(含むNAS)」が57%、「メール添付」は18%(出典:Dropbox Japan)



■[DX][働き方]企業間契約のおよそ3割は「実印不使用」、電子署名が少しずつ広がる?(クラウド型電子署名サービス協議会、2月25日)
・企業間契約のおおむね3割前後で「実印は不使用」
・企業規模が大きいほど「実印は不使用」率が高まる
・発生件数が少ない契約では「実印は不使用」率も低い

 ドキュサイン・ジャパンが国内電子署名サービス事業者6社と設立した、クラウド型電子署名サービス協議会が行った調査。個人事業主と企業に属する個人およそ490人に、契約書と押印の状況について聞いた(うち2割近くの業種はIT)。実印を使わない契約パターンとしては「雇用契約」「派遣契約」などが多い。実印を使うケースが多いものは「株式譲渡・引受契約」「事業譲渡契約」などだが、こうした契約は発生件数も低い。また、企業規模と実印不使用に相関関係が見られたことも報告している。

契約類型別の押印率。青が「実印は不使用」率を示す(出典:クラウド型電子署名サービス協議会)



■[DX]バーチャルイベント市場は5年で3倍に拡大、2025年に44億ドル市場へ(フロスト・アンド・サリバン・ジャパン、2月24日)
・バーチャルイベント市場は2020年の15.7億ドルから2025年には44.4億ドルへ
・バーチャルとフィジカルで一貫した体験が重要
・AIを活用した参加者の洞察、パーソナライズされたコンテンツなどでエンゲージを改善

 新型コロナの影響で在宅勤務が普及し、イベントやセミナーがバーチャル(オンライン開催)に移行しつつある。調査では、バーチャルイベントの世界市場規模は2020年の15.7億ドルから年平均成長率23.1%で成長し、2025年には3倍近くの44.4億ドルに拡大すると予想。ミーティング、大規模なイベントなどさまざまなニーズに対応し、統合されたプラットフォームを使って、オーディエンス分析などを進める必要があると助言している。



■[仕事]仕事と感情――7割が「仕事に感情を落ち込むべきではない」、8割以上が「感情を職場で伝えてよかった」(2月25日、リクルートマネジメントソリューションズ)
・仕事中に経験した感情、「不安・心配」が8割、「嬉しさ・喜び・感謝」は6割
・約7割が「仕事や職場に感情を持ち込むべきではない」と考える
・ネガティブな感情でも8割以上が「職場で伝えてよかった」と回答

 「仕事と感情に関する意識調査」として、20~49歳の会社員約830人に聞いた。期間は2021年12月。「直近1ヶ月で仕事中に経験した感情」を分類すると、ポジティブな感情は40.3%、ネガティブな感情は59.7%だった。接客・サービスだけではなく、オフィスワーカー(営業・事務・技術など)でも半数以上が、感情を用いた職務遂行が求められる「感情労働」を求められていることもわかった。「仕事中に感情を伝えるべきではない」と考える人は多い一方で、ネガティブな感情であっても83.5%が「伝えてよかった」と回答した。技術の進展、VUCA、テレワーク、人材マネジメントなどの背景から、仕事・職場で「感情」という側面の重要度は増していると指摘する。

「職場に感情を持ち込むべきではないと思うか?」という質問。約7割が「自分が」、約6割が「職場の人が」感情を持ち込むべきではないと回答(出典:リクルートマネジメントソリューションズ)

仕事中に感じたポジティブ/ネガティブな感情について、人に伝えたか(上)、誰に伝えたか(中)、伝えてよかったと思うか(下)を聞いた(出典:リクルートマネジメントソリューションズ)



■[セキュリティ]ロシア-ウクライナ間の紛争はサイバー空間でも、義援金詐欺も増加(チェック・ポイント・ソフトウェア・テクノロジーズ、3月2日)
・ウクライナ政府・軍部に対するサイバー攻撃が196%増加
・ロシアへのサイバー攻撃が4%増加
・「ウクライナ義援金詐欺」に警告

 チェック・ポイント・リサーチがロシア-ウクライナ間の紛争に関連して観測したサイバー攻撃のデータより。ウクライナ政府と軍部に対するサイバー攻撃は、ロシアがウクライナに侵攻してから3日間で196%増加した。一方、ロシアに対するサイバー攻撃は4%の増加。東スラブ語(ウクライナ語はその一部)でのフィッシングメールは7倍増加、そのうちの3分の1はウクライナのメールアドレスからロシアの受信者に向けて送られていた。世界的なウクライナ支援の声を受けて「義援金詐欺」が増えていることにも警告している。

2月24日から3日間で、ロシアとウクライナのサイバー攻撃平均数が増えた(出典:チェック・ポイント・ソフトウェア・テクノロジーズ)

悪質メールのうち東スラブ語が占める割合も急増している(出典:チェック・ポイント・ソフトウェア・テクノロジーズ)

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