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IFA 2018レポート 第8回

ZTE反撃の狼煙! “全部入り”フラッグシップ「AXON 9 Pro」発表

2018年09月01日 12時00分更新

文● 山根康宏 編集● ASCII編集部

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IFA 2018で発表されたZTEの「AXON 9 Pro」

 ZTEは8月31日にドイツ・ベルリンで開催中のIFA 2018に合わせて新製品発表会を開催し、フラッグシップモデルとなる「AXON 9 Pro」を発表しました。

 AXON 9 ProはZTEがアメリカ商務省の制裁解除を受けてからの、最初の新製品となります。この数ヵ月間の沈黙を破るモデルということもあり、あらゆるスペックを強化した「全部入り」「なんでも入っている」ともいえる、欲張りな製品に仕上がっています。

AXON 9 Proを発表するZTEのジェフ・イーVP

 発表会の冒頭ではZTE Mobile Deviceのプロダクトマーケティング&戦略部門のVP、ジェフ・イー氏が、この沈黙期間中も同社を支えてくれたユーザーやパートナーの人々に感謝の気持ちを伝えるとともに、同社のフラッグシップモデルとなるAXONシリーズの最新機種は名前に恥じないフルスペック端末に仕上がっていると説明しました。

 AXONシリーズといえばHi-Fiサウンド再生対応など音に対しての性能を強化してきました。今回発表されたAXON 9 Proでは「Sight」、すなわち映像表示やカメラ機能を大きく強化しています。ディスプレーは6.21型(1080×2248ドット)でアスペクト比は18.7:9のワイドサイズを採用。ZTEとして初となるノッチ付きのディスプレーとなっています。

AXON 9 ProはZTE最初のノッチ付きディスプレーを採用

 このディスプレーは「AXON Vison」と呼ぶ技術を採用しています。ディスプレーはMEMS(Micro Electro-Mechanical System、微小電子機械システムシャッター)を採用し、動画再生は一般的な液晶ディスプレーの24fpsに対し60fpsと高いフレームレートに対応しています。これにより高速な動きのゲームや動画もより美しく再生できるとのこと。それに加えてHDR(HDR10)の再生にも対応し、明暗の差をより鮮明に表示することも可能になっています。

 さらには流行のAI機能を積極的に取り入れ、カメラや本体パフォーマンス、アプリケーションのマネジメントなどに応用することで端末性能や使い勝手を高めています。AXON 9 Proの「Pro」はパフォーマンスだけではなく、AIを使った端末の最適化も意味しているのです。

MEMSディスプレーにより60fpsの動画再生が可能

AIを採用し、カメラや本体のコントロールに利用している

 カメラは背面にデュアルレンズを搭載。1200万画素(F値1.75)の光学手振れ補正対応の明るいレンズ(Sony IMX363)と、2000万画素で130度の広角レンズの組み合わせになっています。フロント側は2000万画素(F値2.0)で、Face IDに対応するとともに美顔モードも備えています。

 さらには歴代のAXONシリーズでおなじみの音楽再生機能も高い性能を誇ります。デュアルスピーカーの搭載にデュアルスマートPA、ドルビーアトモスやピュアHi-Fiに対応。ステレオレコーディングも可能など、音に関してはスマートフォンとしても最上位に位置するスペックなのです。

トリプルカメラを搭載、画素数はいずれも高い

音楽再生機能も高い。ワイドディスプレーで高画質、高音質な映画の再生もできる

 基本スペックはSoCがSnapdragon 845、メモリー6GB、内蔵ストレージ128GB、4000mAhのバッテリー、指紋認証センサー搭載など。OSはAndroid 8.1となります。またIP68の防水防塵に対応し、Qi方式のワイヤレス充電もサポート。さらに背面仕上げは傷防止対策がされており、7Hの硬度に耐えることができます。ケースを付けなくても傷がつきにくくなっているのです。

ハイスペックスマートフォンにふさわしい性能を有する

防水、ワイヤレス充電対応、そして背面は傷防止仕上げになっている

 発表会の後に実機を触ってみましたが、6.21型ながらも縦長なディスプレーを採用したことにより、本体サイズは約74.5×156.5×7.9mmと片手でも十分握れる大きさになっています。ノッチのサイズはiPhone Xとほぼ同等のようです。いい意味で従来のZTE端末らしさを感じられない、今風のデザインといえるでしょう。

AXON 9 Proのフロント。ノッチはややサイズが大きめ

片手でも十分持てる大きさ。18.7:9のアスペクト比のため、縦に長い

 本体は右側面に電源キーとボリュームキー、左側にSIMスロットが配置されるオーソドックスなデザイン。電源キーの表面はハッチング処理がされており、ポケットの中で本体をつかんでも指先で判別できるようになっています。本体上部にはスロットやボタンは無くマイクの穴があるのみ、下部にはスピーカーとUSB Type-C端子が並びます。

側面デザインはオーソドックス

本体下部もよくあるデザインだ

 背面には光沢の強い仕上げ。デュアルレンズのカメラが左上に配置され、こちらのデザインもややiPhone Xライクです。中央にはAXONのロゴが表記され、その上には指紋認証センサーを内蔵しています。そして下部にはZTEのロゴ。その下には小さく「Designed by ZTE」という表記も見えます。

AXON 9 Proの背面

 製品発表では傷に強い背面処理がされていると説明がありました。7Hの硬度に耐えるとのことで、実際に展示機を見てみると、展示台の上で多少ラフに扱われているものの傷がついている様子はないようでした。実際は何らかのケースを付けたほうが安心かもしれませんが、ケースなしで使っても簡単に傷がつくようなヤワな仕上げでないことがわかります。最近のスマートフォンは美しい背面の製品が多いだけに、今後は他社にも同じ仕上げの採用が進むかもしれません。

カメラは縦に2つのレンズを並べている。2000万画素と1200万画素の組み合わせ

傷防止処理がされた背面。ケースなしで使っても傷の心配は少ないだろう

 カメラもざっと操作してみました。人物を判別して複数の顔にピントを合わせてトラッキングしてくれたり、あらかじめ範囲を指定しておき、動作があると自動シャッターが切れるスマートキャプチャー機能も搭載しています。このスマートキャプチャーは子供や動物を撮影するときに使えそう。カメラ画質の高さだけではなく、撮影の自動化も進めています。また2000万画素を生かしたフロントカメラの美顔セルフィーはSNSへのアップ用に今や必須の機能でしょう。

 AXON 9 Proは9月中にまずはドイツで発売されます。価格は649ユーロ、日本円で約8万4000円。スペックを考えると割安な価格設定になっているでしょう。なお、ドイツ以外の国での販売は現時点ではアナウンスはありませんでした。ヨーロッパの他の国への展開は当然あるでしょうが、アメリカや日本の展開は未定です。「Pro」のつかないAXON 9シリーズの展開への期待も含め、これから反撃に出るZTEの動きが楽しみと感じられたAXON 9 Proの発表会でした。

ドイツでの価格は649ユーロ。日本への投入はまだ未定とのこと


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