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「今後1年でLinux比率を60%にする」と国内Azure事業トップの浅野氏

日本MSはなぜAzure仮想マシンのLinux比率拡大にこだわるのか?

2017年11月20日 12時00分更新

文● 羽野三千世/TECH.ASCII.jp

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 日本マイクロソフトは11月17日、マイクロソフト(および日本法人)のオープンソース戦略に関する記者説明会を開催。国内Azureビジネスのトップである日本マイクロソフト クラウド&エンタープライズビジネス本部 業務執行役員 本部長の浅野智氏が、オープンソースへの取り組みやAzureでのオープンソースのサポート動向、日本法人におけるAzureの経営目標について語った。

日本マイクロソフト クラウド&エンタープライズビジネス本部 業務執行役員 本部長の浅野智氏

 サティア・ナデラCEOが「Microsoft loves OSS」を掲げて久しいが、今やマイクロソフトは、GitHub上でのOSSへのコントリビュート数が最も多い企業になった。Azureにおいても、インフラ層からデータベース&ミドルウェア層、アプリケーション実行環境や開発言語、開発ツール、管理ツール、DevOpsツールまで、「すべてのスタックでOSSをサポートしている。また、ないものはこれから追加していく」と浅野氏は説明する。

 同社のオープンソース戦略は、(1)IaaS環境などでOSSをそのまま利用できる環境を提供すること(Enable)、(2)OSSをPaaSとしてAzureに統合したサービスとして提供すること(Integrate)、(3)自社製品にOSSのテクノロジーを取り込んでリリースすること(Release)、(4)OSSコミュニティに貢献すること(Contribute)、の4本柱から成る。

マイクロソフトはGitHub上でのOSSへのコントリビュート数が最多の企業マイクロソフトのオープンソース戦略の4本柱

 “Enable”については、現在Azure上で約9700のOSSコンポーネントが利用可能になっている。“Integrate”では、HortonworksとClouderaのHadoop/SparkディストロをベースにしたPaaSや、RDBMSのMySQLとPosgreSQLのコニュニティ版をマネージドで提供するPaaSを用意しているほか、NoSQLデータベースPaaS「Azure Cosmos DB」でMongoDB API、Gremlin APIをサポートしている。また、11月15日(米国時間)に開催されたイベント「Microsoft Connect」で、新たにSparkベースのデータ分析PaaS「Azure Databrics」、MariaDBのPaaS、Cosmos DBでのCassandra APIサポートが発表された。

 “Release”では、「例えば10月にGAになったSQL Server 2017で、動作環境としてネイティブにLinuxとDockerをサポートしたほかOSS系言語であるPythonに対応した」(浅野氏)。“Contribute”に関しては、2016年11月にLinux Foundationにプラチナメンバーとして参加、2017年6月にCloud Foundry Foundationに参画している。また、今回のMariaDBのPaaS提供に際してMariaDB Foundationにプラチナメンバーとして参画することを発表した。浅野氏はマイクロソフトのOSSへの貢献量について「6000人の社員がOSS関連プロジェクトに従事し、3000のプロジェクトをリリースした」と数字を提示した。

Azure上では9700のOSSコンポーネントが利用可能

 これらのOSSへの取り組みにより、Azure仮想マシン(VM)におけるLinux比率はグローバルで40%まで拡大したとする(既報)。日本法人の経営目標として、浅野氏は、「今後1年間でVMのLinux比率を60%まで拡大する」ことを掲げた。

 そのための施策として、OSSの専任部隊を20人体制で組織し、さらにOSSの各領域でスペシャリストを育成していく(日本マイクロソフトには現在50人程度のOSSスペシャリストが在籍しているとう)。「現在でも、年間200回以上のOSS関連のセミナー、イベント、トレーニングを開催している。今後は、国内のOSSユーザーコニュニティにマイクロソフトのナレッジを展開することに取り組んでいく」(浅野氏)。

 日本マイクロソフトがAzureのLinux比率拡大にこだわる理由について、浅野氏は、IDCの調査を引き合いに、「デジタルトラスフォーメーションのためのクラウド戦略において、OSSおよびオープンAPIを導入する意向があるエンタープライズ企業は60%に上る。AzureのLinux比率は現在40%であり、この20ポイントのギャップをうめていきたい」と説明した。

 さらに浅野氏は、デジタルトランスフォーメーションのためのモダンアプリケーション開発はアジャイルである必要があり、ビジネスに大量データを活用するためにはデータ処理のパフォーマンスが重要であると指摘。そのため、「企業のOSSの利用はPaaSへ向かわざるを得ない。マイクロソフトはPaaSでOSSのテクノロジーを使える環境をそろえていく」(浅野氏)と述べた。競合クラウドに対するAzureのPaaSの優位性は、基盤テクノロジーの「Service Fabric」にあるとする。RDBMSのPaaS基盤に採用されているService Fabricの概要については、記事「インフラから解説、Azure PaaSでMySQL/PostgreSQLを使う意義」を参照してほしい。

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