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デルテクノロジーズ統合後もエコシステムとビジネスは堅調

NSXがビルトインされた「Pivotal Container Service」発表

2017年08月31日 07時00分更新

文● 大河原克行

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本番運用のためのコンテナサービス「Pivotal Container Service」

 続いて、PivotalのCEOであるロブ・ミー(Rob Mee)氏が登壇し、新サービスとして「Pivotal Container Service」を発表した。これが会期2日目の最大のトピックスとなった。

PivotalのCEOであるロブ・ミー氏(中央)

 ミーCEOは、「顧客に共通しているのは、いかに迅速にデジタル変革を行なうかという課題とともに、並行して既存のレガシーアプリも実行する必要があるという点だ。Pivotalが、フォーチュン500社をはじめとする多くの大手企業と協業し、Pivotal Cloud Foundryが利用されているのは、可用性を維持し、セキュリティ対策にも優れ、コストも削減しながら、それらの課題を解決できるためだ」と前置きし、「コンテナには多くの関心が集まっているが、それを本番環境といかにつなげるかが課題となっている。これは、オペレーションやインフラを担う人たちと、DevOpsの人たちをどうつなげるかということでもある。デベロッパーは、コンテナのエクスペリエンスをKubernetesの世界に持っていきたいと考えている。Pivotalは、2016年11月から、Googleと協業して「Kubo」というオープンソーステクノロジーを作った。その上で、Pivotal Container Service(PKS)と呼ぶ新たな製品を開発した」と切り出した。なお、Pivotal Container Serviceの略称を「PKS」としているのは、Kに「Kubernetes」の意味を持たせているからだという。

 PKSは、Google Container Engine(GKE)と相互互換性を有し、VMware vSphereおよびGoogle Cloud Platform(GCP)上で、本番運用を目的にKubernetesを活用できるようにしたもので、VMware、PivotalがGoogle Cloudと協業して開発し、企業向けに提供する。

 「PKSには、NSXがビルトインされており、アプリケーションのセキュリティにもフォーカスしたものになっている。しかも、GCPとの統合も行なえる。また、VMware vRealize Automationを利用した自動化とガバナンスの実現や、VMware vCloud Directorを利用したサービスプロバイダ向けのインフラのプロビジョニング、VMware vRealize Operationsを利用した仮想インフラの監視とトラブルシューティング、Wavefront by VMwareを利用したコンテナアプリケーションの指標モニタリングなどを提供。Pivotal Cloud Foundry(PCF)の機能もフルに生かしてもらえる。VMware vSphere にシームレスに統合でき、VMwareのSDDCで統一されたインフラで、顧客がコンテナや仮想マシンを利用できるようになる」とした。

 基調講演では、Googleプロダクトマネジメント担当バイスプレジデントのサム・レミー(Sam Ramji)氏がゲストとして登場。「コンテナによって、クラウドの導入がポータブルになってくる。Kubernetesは、すでに5万3000社で利用されており、Googleがコンテナオーケストレーションで蓄積してきた知識を共有できるようになっている。また、GoogleサーチやGMail、YouTubeを支えるインフラを構築してきた経験も、Kubernetesに生かされている」とし、「PKSにより、マネージドサービスを簡単に行え、プロトタイプから本番への移行が、大きなスケールで実現できる」とした。

Googleプロダクトマネジメント担当バイスプレジデントのサム・レミー氏

 ゲルシンガーCEOは、「多くのデータセンターや、多くのクラウドで稼働させたいという要望や、Google Container Engineの能力を展開してほしいという要望が多く、PKSは、それに対応したものである。コンテナをデベロッパーレディで提供できるものであり、Kuboを大規模に運用することができる」などと述べた。

 PKSは、2017年第4四半期から、直販に加え、各社の販売チャネル、VMware Cloud Providerパートナーを通じて、企業やサービスプロバイダーに向けて提供を開始。さらに、Dell EMCのVxRail AppliancesならびにVxRack Systemsに実装される予定だという。

VMwareはグローバルに一貫性がある管理環境を提供

 続いて登壇したのが、VMwareのCTOであるレイ・オファーレル(Ray O’Farrell)氏である。オファーレルCTOは、「VMwareは、この1年間に渡って、4つの観点から技術開発に取り組んできた。ひとつは、もっともモダンなインフラストラクチャを活用できるようにすること、2つめにはイノベーティブなテクノロジーを活用していながらも使いやすいものを提供すること、3つめには新たなコンサンプションモデルとして提供すること、そして、最後にデベロッパーにフレンドリーな製品であることである」とし、「多くの顧客が競合他社と比べて、ユニークで、差別化を図れるものを提供している」と語った。

VMware CTO レイ・オファーレル氏

 基調講演では、かつては業界最大規模を誇っていたものの、破壊的な競争環境に巻き込まれ、さらに情報漏えいなどの問題が発生し、事業が低迷するなど、多くの課題を抱えている「ELASTIC SKY PIZZA」という架空のピザ会社を題材に製品のデモを披露。VMware Cloud on AWSやAppDefense、Pivotal Container Service、VMware Cloud Servicesといった、VMworld 2017で発表した新たな製品やサービスを活用することで、課題を解決し、デジタル変革に取り組む様子が紹介された。

 オフェレールCTOは、「VMwareが提供している製品は、企業で幅広く採用されており、企業が取り組むデジタル変革の様々な段階で活用できる。常に変革が起こる環境のなかで、VMwareはお役に立てると考えている。私は多くの企業に、VMwareとパートナーになってほしいと考えている。VMwareはグローバルに一貫性がある管理環境を、プライベートクラウドとパブリックラウドの両方に対して提供できる。また、エンタープライズに求められるセキュリティを提供できる会社でもある。VMwareの製品と、デベロッパーが提供する優れたエクスペリエンスを組み合わせることで、高い競争力を持った環境を構築してもらいたい」と締めくくった。

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