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VMware Cloud on AWSとCross-Cloud Servicesの強烈なデモが披露

クロスクラウドへの本気度が伝わったvFORUM 2016の基調講演

2016年11月09日 07時00分更新

文● 大谷イビサ/TECH.ASCII.jp

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11月8日、ヴイエムウェアは年次のプライベートイベント「vFORUM 2016」を開催した。基調講演では、VMware Cloud on AWSやVMware Cross-Cloud Servicesのデモが披露され、あらゆるクラウドをシームレスにつなぐ「Cross-Cloud Architecture」の真価を聴衆に見せつけた。

クラウド運用で「自由」と「コントロール」を両立が必要

 2日間で1万人の来場者を見込む今年の「vFORUM 2016」はVMworldで発表されたCross-Cloud Architectureを軸に、クラウドと仮想化の統合がアピールされた。クロスクラウドは、プライベートクラウドとパブリッククラウドを連携させる「ハイブリッドクラウド」に加え、複数のパブリッククラウドを統合的に利用する「マルチクラウド」を掛け合わせた概念と考えられ、水平方向・垂直方向でさまざまなクラウドを統合して利用する形態をヴイエムウェアとして推進していいる。

 基調講演の冒頭、挨拶に立ったヴイエムウェア代表取締役社長のジョン・ロバートソン氏は、ヴイエムウェアの好調ぶりをアピール。特に日本法人は直近3四半期の売り上げ成長率が24%と2桁成長になっており、9%のグローバルより伸びているという。

ヴイエムウェア 代表取締役社長 ジョン・ロバートソン氏

 どこが伸びているのか? たとえば、110%の伸張を達成したのはネットワークの仮想化を提供するVMware NSXだ。「一昨年からPoCがスタートし、去年からNSX導入の波が始まった。マイクロセグメンテーションというストーリーが受け、すでに200社くらいのお客様がいる」とロバートソン氏は語る。その他、VSANやSDDC、EUC(End User Computing)、デスクトップなど新しいテクノロジーも引き続き伸びており、サーバーのみにとどまらない仮想化の拡がりが進んでいる。

 続いて登壇した米ヴイエムウェア CEOのパット・ゲルシンガー氏は、8月に米国で開催されたVMworld 2016の基調講演を踏襲した内容を披露した。ゲルシンガー氏は、デジタルトランスフォーメーションが企業のビジネスの根幹になった現在、予測可能なプロセスを最適化するという従来型のITに依存せず、クラウドとモバイルを中心に据え、ルールを臨機応変に変える企業文化の変革が必要だと訴えた。

米ヴイエムウェア CEO パット・ゲルシンガー氏

 2006年にグーグルのエリック・シュミット氏がクラウドコンピューティングを提唱し、AWSがサービスを開始してから10年。ゲルシンガー氏は、2016年の現在はプライベート/パブリッククラウドの利用が27%に達しているという調査を披露した。そして、2021年には約3割のワークロードがパブリッククラウドに移行。さらに「2021年の6月30日、7時57分」にパブリッククラウドのワークロードが従来型IT・プライベートクラウドのワークロードを逆転すると予想する。

2030年にはパブリッククラウドが従来型IT・プライベートクラウドを逆転する

 とはいえ、IT部門にとっては課題も山積だ。まずは端末の増加。2019年上半期にはIoTデバイスの数が人間が利用するPCやタブレットの数が上回り、現在の4倍にあたる180億デバイスに膨らむ。また、マーケティングを中心にした事業部門が積極的にITの活用を進める昨今、情報システム部が関与しないシャドウITがこれまでにない勢いで増加する。とはいえ、最終的に、システムの可用性やデータの保全は情報システム部が担当しなければならない。ゲルシンガー氏は、今後のクラウド利用においては、自由とコントロールを両立する必要があると訴える。

VMware CloudがAWSで簡単に構築できる

 こうした状況を踏まえ、ヴイエムウェアが提唱するのが、複数のクラウドサービスやオンプレミスまでを統合管理するVMware Cross-Cloud Architectureになる。事業部門や開発者が求める「自由」とIT部門が必要とする「コントロール」を両立すべく、オンプレミスで使われているVMware環境をパブリッククラウドにまで拡張し、さらに複数のクラウドを統合的に管理できるようにするのが目的だ。具体的には、vSphereやNSX、VSAN、vCenterなどを完全統合したSDDC(Software-Defined DataCenter)コンポーネント「VMware Cloud Foundation」と、統合管理サービスを提供する「VMware Cross-Cloud Services」を2017年内に提供開始する。

VMware Cross-Cloud Architectureのコンセプト

 パブリッククラウドに関しては、VMware Cloud Foundationを主要なクラウドサービスに載せていく戦略を展開する。8月のVMworldではIBMとの提携を発表し、すでに1000社以上のユーザーが利用しているという。そして、10月にはAmazon Web Services(AWS)との提携も発表。今回のvFORUMでは2017年の中旬に開始される「VMware Cloud on AWS」のデモが国内で初めて披露された。

 ヴイエムウェア テクニカルサービス統括本部 統括本部長 野崎 恵太氏によって行なわれたデモは、AWSの北米リージョン(オレゴン、バージニア)に展開されているシステムを、ヨーロッパ(アイルランド)に拡張するというシナリオ。VMware Cloud on AWSのGUIを開き、「Create VMware Cloud」のボタンを押すと、AWSのリージョンマップが開くので、アイルランドを選択。次にTシャツのアイコンで、あらかじめ用意されたサイズを選択する。画面を見る限り、「SMALL」は294GHz CPU、976GBメモリ、25TBストレージの計4ホスト、「MEDIUM」は2352GHz CPU、7TBメモリ、200TBストレージの計32ホスト、「LARGE」は4704GHz CPU、15TBメモリ、400TBストレージの計64ホストで構成されているようだ。これらはもちろんカスタマイズでき、自社の要件にあわせたカタログとして利用できる。

まずはサイズを選択。もちろん、カスタマイズも可能

 サイズを選択し、「次へ」のボタンを押すと期間の選択になる。メニューとしては、1時間ごととの従量課金のほか、1年間、3年間のリザーブが用意されており、支払いはクレジットカードとVMwareアカウントが選択できる。VMwareアカウントはソフトウェアライセンスの購入で利用されるアカウントで、すでに利用中のものがそのまま利用できるという。

次はプランと支払い方法を選択する

 最後、選択した内容を確認すると、アイルランドリージョンでのVMware Cloudの構築が開始。具体的にはAWSが専用に用意した「Elastic Beremetal Service」の基盤上に、vSphre、NSX、VirtualSAN、vCenterがインストールされることになる。「ベアメタルの基盤上に構築されたVMware ESXiは、ネイティブのパフォーマンスをお客様に提供する」(野崎氏)とのことだ。

アイルランドリージョンでのVMware Cloud構築が開始される

 数分後にはアイルランドのVMware Cloudが利用可能になり、既設のヴァージニアやオレゴンリージョンとともに表示される。「Open vCenter」でvCenterを開くと、AWS上のVMware Cloudのみならず、デンバーにあるオンプレミスのVMwareのインフラも表示される。シンプルな使い勝手で、VMwareのSDDCスタックをグローバルのリージョンに展開できるという点が理解できた。

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