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「第4次産業革命に不可欠なインフラの提供企業に」、Tokyo Dell EMC Forum 2017基調講演

Dell EMC、グループ7社で構成する包括的なIoT戦略を語る

2017年10月27日 07時00分更新

文● 大塚昭彦/TECH.ASCII.jp

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 10月26日、デルとEMCジャパンが開催した「Tokyo Dell EMC Forum 2017」の基調講演では、米Dell EMC幹部のハワード・エライアス氏が、Dell Technologiesグループ7社の幅広いテクノロジーカバレッジによって、顧客企業のデジタルトランスフォーメーション(デジタル変革)をどのように支援できるのかを語った。また、今月米国で発表されたIoTプラットフォーム戦略「IQT」についても、あらためて説明を行っている。

「Tokyo Dell EMC Forum 2017」展示会場の様子。今年5月に開催された「Dell EMC World 2017」と同じく、テーマは「Realize(リアライズ)」
基調講演に登壇したDell EMC サービス及びIT担当プレジデントのハワード・エライアス氏

企業のデジタルトランスフォーメーションを包括的に支援していく

 講演の冒頭、エライアス氏は「あらゆる業界、企業において現在、劇的な変化、つまりトランスフォーメーションが起きている」と切り出した。その変化によって、これまで存在しなかった収益源、新しいビジネスモデルが次々に生まれている。「変化は豊かなビジネスチャンスをもたらす」(エライアス氏)。

 企業がデジタルトランスフォーメーションを達成し、ビジネス上の成功を達成するために必要な、具体的な変革とは何か。エライアス氏は、「デジタル(ビジネス)/IT/ワークフォース(働き方と生産性)/セキュリティ」という4つの柱で変革が必要だと語る。そして、Dell Technologiesグループの7社が迅速に、かつ協調して動くことで、この4つの領域すべてにおける顧客の変革を支援できることを説明した。

エライアス氏は4つのトランスフォーメーションを挙げ、「すべての企業はいずれかの段階にいるはずだ」と語った

 たとえばデジタル(ビジネス)トランスフォーメーションにおいては、「かつての石炭や石油に変わって、第4次産業革命ではデータこそが大きな価値を生む“燃料”になる」。ここでは、新たなビジネス価値を生むアプリケーションの迅速な(アジャイルな)開発と、そこから得られた膨大なデータの分析に基づくインサイトが求められることになる。

 ITトランスフォーメーションでは、クラウドネイティブなアプリケーションや、膨大なデータに基づくインサイトを実現するために「ITインフラ全体の改革とモダナイズが絶対的に必要になる」。具体的には、ITインフラの提供において手作業とサイロ化を排除し、API主導型で自動化されたオーケストレーションによって、ポリシーベースのセルフサービスの世界に変えていくことになる。加えて、ビジネスの“資産”となるデータの保護も重要だ。

IT(データセンター)トランスフォーメーションでは「アプリケーション、ITインフラ、運用モデルの3つすべてを変革しなければならない」とエライアス氏は説明した

 またワークフォーストランスフォーメーションでは、現在、仕事をする「場所」と「仕方」が大きく変化し始めており、「3分の2の人が、会社以外の場所で仕事をしていると言われている」。さらに、単に「最新」であるだけでなく、生産性を高め、円滑なコラボレーションを可能にするテクノロジーを従業員に提供できなければ、優秀な人材の確保も難しい時代だ。

 そして、クラウドやデータセンターからエンドポイントまで、すべての領域で求められるのがセキュリティである。ここでは、従来のように侵入を防ぐことだけに尽力するのではなく、「脅威の侵入は防げないものと考えるべきである」。そのため、攻撃者の侵入を迅速に検知、対応し、トータルなリスク管理を図っていくことが重要になる。

 エライアス氏は、こうした4つのトランスフォーメーション領域を、ITインフラの面で包括的に支援できるのが、Dell Technologiesグループとしての強みだと強調した。Dell EMCとDell Incだけでなく、VMware、Pivotal、Virtustream、RSA、SecureWorksと、エンドトゥエンドであらゆるトランスフォーメーションの基盤となる製品、サービスをカバーしていく。

ITインフラ、クラウド、アプリケーション、エンドポイント、さらに包括するセキュリティやプロフェッショナルサービスまで、Dell Technologiesとしてカバーできる

 「マイケル(・デル氏)のビジョンは、次の産業革命、そしてIoE(Internet of Everything)の世界において、欠かせないITインフラを提供する企業になろうということ。Dell Technologiesはそのために作った企業(グループ)だ。グループ各社がスタートアップのように俊敏に、なおかつそれぞれの専門性を生かして、そしてひとつに協調して動くことで、顧客のトランスフォーメーションのためのソリューションを生み出していく」(エライアス氏)

国内におけるさまざまなトランスフォーメーション支援の事例も披露された

米本社にIoT事業部を新設、今後3年間で1000億円超のR&D投資

 今月10日、Dell Technologiesは米国でIoT分野での新たな発表を行った。IoT専門の事業部を新設し、今後3年間で10億ドル(およそ1100億円)という研究開発投資を行っていくという。IoT事業部のトップには、米VMwareのCTOであるレイ・オファレル氏が就任している。

 エライアス氏は基調講演とそれに続いた記者説明会において、そのビジョンや顧客に提供できる価値、Dell Technologiesの強みなどを説明した。

 Dell Technologiesが考えるIoTプラットフォームは、デバイスが接続されるエッジとクラウドの間に、データセンタークラスの処理能力を持つ「分散型コア」(Distributed Core)を備えた3層の構成となっている。

 これは、高いリアルタイム性が求められる分析と制御はエッジで、そこから得たデータに基づく機械学習はコアで、そして大量の蓄積データに基づく高度なディープラーニングやアナリティクスはクラウドで行うという役割分担だ。そして、エッジから得られた大量のデータに基づいてコアやクラウドのアプリケーションがアルゴリズムを改善し、それがまたエッジに戻され進化していくという“循環”モデルが考えられている。

Dell TechnologiesではIoTプラットフォームを「エッジ/コア/クラウド」の3層として定義している

 そもそもDell Technologiesでは、目指すIoTプラットフォームの姿を「IQT」という言葉でアピールしている。これは“IQ+IoT”の造語であり、IoTプラットフォームにあらかじめ機械学習やAIの“知性”を組み込んで提供し、顧客がすぐにその能力を活用できるようにするというビジョンだ。

 Dell Technologiesは、3層のIoTアーキテクチャ(のインフラ)を実現するための「最も広範な製品ポートフォリオ」をすでに持っていると、エライアス氏は説明した。「Edge Gateway」やそのセキュリティを確保する「VMware Pulse IoT Control Center」、分散型コア向けに強化された「PowerEdge Cシリーズ」サーバー、膨大なデータを蓄積しHDFSアクセスにも対応する「Dell EMC Isilon」やSDSの「Elastic Cloud Storage」、クラウドネイティブなアプリケーション開発に適した「Pivotal Cloud Foundry」や「Pivotal Container Service」、データ統合プラットフォームの「Dell Boomi」などだ。さらに、IoTストリーミングデータの取り込みやクエリを可能にするDell EMCの「Project Nautilus」や、IoTソリューション全体の導入や管理、監視を簡素化するVMwareの「Project Fire」、エッジまでのセキュリティモニタリングを可能にするRSA「Project IRIS」など、新しい製品の開発イニシアチブも進んでいるという。

Dell TechnologiesグループのIoTポートフォリオ

 ちなみにDell Technologiesが言う「IoTプラットフォーム」とは、(他社のそれのように)特定用途に向けた単一のプラットフォームやソリューションではなく、こうした多種多様なコンポーネント群を統合したものを指しており、これらがさまざまな用途に合わせて柔軟に統合可能であることが特徴だという。

 また、幅広いパートナーエコシステムを持っていることもDell TechnologiesのIoTプラットフォームの特徴だと、エライアス氏は説明した。IoTデバイスからAIやアナリティクスなどのアプリケーション、また各業界/業種向けソリューションのプロバイダーまで幅広いパートナーを持つと述べた。ちょうどクラウド市場における同社のスタンスと同じように、ソリューションプロバイダーに対しては製品やサービスを提供するサプライヤー的な立場となる。

 まとめとしてデル日本法人CTOの黒田晴彦氏は、「今回、Dell Technologies本社にIoT事業部が新設され、(グループ内で)横串を刺した仕組みができた。日本においても、一部の(IoTソリューションの)PoCを日本の顧客とも進めている。本社での大きな動きに、日本でも対応していく」と述べた。

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