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業界人の《ことば》から第228回

富士通PCのレノボ統合は秒読みか、PC事業に求める甘えからの脱皮

2017年01月06日 13時30分更新

文● 大河原克行、編集●ASCII.jp

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今回のことば

 「富士通のPC事業は、もともといいものを持っている。だが、市場はコモディティー化している。独立した環境のなかで、きちっと強さを追求してもらいたい」(富士通・田中達也社長)

IoT、AI、クラウド、セキュリティーに集中投資する富士通

 富士通のPC事業が、レノボグループに統合される方向で検討が進められている。

 レノボグループと、富士通および富士通クライアントコンピューティングは、2016年10月27日付けで「富士通およびレノボによるPC事業における戦略的提携の検討」と題したニュースリリースを発表。グローバル市場に向けたPCの研究、開発、設計、製造に関する戦略的な提携について検討を進めていることを明らかにした。

 リリースでは「本戦略的提携は、富士通のグローバル販売力、お客様サポート力、開発および製造能力と、レノボの卓越したオペレーションを融合し、ダイナミックなグローバル市場で戦うための成功モデルを目指す」としているほか、「富士通はこれまでと変わりなく、高品質かつ革新的で信頼性の高い富士通ブランドのPC製品とアフターサービスを、世界中の顧客や販売パートナーに提供する」としている。

 富士通は2016年2月1日にPC事業を分社化して富士通クライアントコンピューティングを設立。レノボグループとの統合は、同社および同社傘下の製造拠点やサポート拠点などが含まれる。また、今回の戦略的提携については、日本政策投資銀行が財務面および戦略面で支援することについても協議を進めていくことを明らかにしている。

 富士通では、クラウドをはじめとするサービス事業や、メインフレームやサーバー、ネットワーク機器を含むシステムプラットフォーム事業で構成される「テクノロジーソリューション」をコア事業と位置づける。一方、PC事業や携帯電話事業で構成される「ユビキタスソリューション」をコア事業から外している。

 ではなぜテクノロジーソリューションをコア事業に据え、ユビキタスリソリューションをコア事業から外したのだろうか。

 富士通の田中達也社長は「富士通はメインフレームやシステムインテグレーション、ネットワーク、半導体、PC、携帯電話など、さまざまな事業をやってきた経験がある。それによって幅広い取り組みが可能になり、製品やサービスを垂直統合の形で、総合的に提供できた。かつては総合的な価値、総合的な提案が求められる時代でもあり、顧客から見れば『富士通に頼めばなんでもやってくれる』ことが最適解でもあった」と前置きする。

 「だがこれだけグローバル競争が激しくなり、サービスが重視されるなかで、果たして富士通は『なんでも屋』でいいのかという疑問が出てきた。むしろ、それぞれの事業において過去にいいものがあったとしても、新たな時代に向けて実際に形を変えていかないと、富士通は顧客の要求に対応できなくなる。一方で、デジタルテクノロジーの進化により、データがすべての機軸となり、社会やビジネスの変革をもたらしている。これからの世の中で最も重視される『データ』を中心に考えたときに、ビッグデータを中心とした『つながるサービス』を作っていくことが大切である。データが入ってきて、それをセンターで蓄え、分析し、顧客に価値を戻していくことを、富士通の事業の中心に据えるべきだと判断した」と語る。

 ここに、テクノロジーソリューションをコア事業に据えた理由がある。

 「IoTは、顧客のビジネス現場から大量のデータを集めるための手段であり、富士通はあらゆる業種の有力企業とのアライアンスにより、データを集める間口を広げる。そこで収集したデータを、業種、業務の知と知をつなげるAIによって解析し、顧客が持つ業務アプリケーションや知的作業を、高度化、自動化していくことになる。さらにこれらをつなげるため、オープンソース応用技術を取り入れた強固なクラウド環境を実現するMetaArcを活用。マルチクラウド上で動作させ、デジタルサービスの運用を支える。そして、これらの根幹を担うのがセキュリティーであり、顧客の事業や社会全体をサイバー攻撃のリスクから守る。この実現のために富士通はIoT、AI、クラウド、セキュリティーに集中的に投資。M&Aも主要な手法として活用していく」などと語る。

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