このページの本文へ

前へ 1 2 3 次へ

さくらの熱量チャレンジ 第8回

クラウドEXPOのさくらインターネットブースで公開取材!

2020年はロボット?さくらの田中社長、小笠原フェローと語る未来戦略

2016年11月14日 07時00分更新

文● 大谷イビサ/TECH.ASCII.jp

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

サービスのためのハードウェアであれば取り組む可能性はある

オオタニ:さて残り10分で、スライドなしのノンストップトークになるのですが、これから2020年のさくらを考えていきたいと思います。IoTがつながり、データがAIで分析されて、ロボットやAR/VRなどでフィードバックされる世界は到来すると思うのですが、その中でさくらはどんな立ち位置になっているのでしょうか?

小笠原:田中さん、どうしたいですか?(笑)

オオタニ:展示されている1/2タチコマとか見ていると、2020年にはロボット作ってるんじゃないかとも思いますが(笑)。

田中:その意味で言うと、ハードウェアではないですね。1990年代、2000年代はどちらかというとソフトウェアの時代だったと思うんですけど、2010年以降はハードとソフトの時代になってきている。ただ、サービスで稼ぐというのは変わらなくて、ハードウェアだけでは儲らない。

たとえば、アップルのiPhoneも、AmazonのKindleもそうですよね。ハードの売り上げがないわけではないけど、そこから消費されるサービスの方が利益率がいい。だから、サービスを売るためにタチコマが必要であれば、タチコマの研究もしたい。強調したいのはあくまでサービスのためということ。ハードウェアが必要なのであれば、ロボットでも、センサーでも取り組む可能性はあると思います。

まさに黒山の人だかりとなったクラウドコンピューティングEXPOのさくらインターネットブース

小笠原:僕の立場から言うと、ハードウェアは最後絶対ゴミになるんですよ。ゴミになるところまできちんとやりたいという人はそれをやればいいし、それを支えるサービスやインフラはさくらがやるべき領域。そこに特化しつつ、幅を拡げていくという方向性になるのかなと思います。

オオタニ:ハードウェアスタートアップも、最近は単にモノを作るだけではなく、バックエンドのクラウドサービスでどんな価値を作り出せるかにフォーカスしてきてますよね。

小笠原:さくらのIoT Platformも、2007年当時くらいのクラウドみたいな存在になりたい。これがあったからこそ、スピーディにサービスが立ち上げられたと言われるような存在。だから、通信モジュールまで提供しているんです。

列をなしてコンピューティングリソースを待つ時代が来る

田中:シンプルに言うと、2020年には今より1000倍から1万倍のコンピューティングリソースが必要とされるようになるし、それを支えるインフラも重要になる。正直、外資系ベンダーと戦っているヒマがないくらい需要が増えるんです。クラウドと比較にならないくらい、コンピューティングリソースの要求が高まるので、リソースを求めて行列をなすくらいの市場になっていると思います。

オオタニ:もう1つお聞きしたいのは、AIという観点。どういう取り組みを考えているんですか? 3年前、ビッグデータの話が盛り上がらなかったのは、やはりデータがなかったことと、集まったところで誰が分析するという話が欠けていたところ。でも、データが上がってきて、分析できるAIが登場したことで、この分野に再度注目が集まりそうですね。

小笠原:AIで解析しなければならないほどデータが集まり始めるのが、2020年くらいだと思います。IoTや機械学習みたいな分野がクロスし始めると、データが生まれる価値が、現在みなさんが考えつかないものになります。だから、ビジネスになり始めるのがこれくらいの時期かなと。

オオタニ:先日、IoT Platform β版の発表会で、「こんなに安くして、さくらは儲るのか?」という質問を私がしたとき、江草さんから「データが集まることで、結果としてさくらのビジネスにつながる」というクレバーな答えが返ってきたのですが、やはりそういうことですか?

田中:どうやって儲けるかわからないけど、たぶん儲るだろうという切り口ですね。この業界、スペックやアーキテクチャもいいものが使えるので、最近は後発優位性の方が効くのですが、さくらが今からデータを集め始めるというのは、先行者利益を守るために重要だからです。サービスが出始めると、差別化要因が出てくるので、ビジネスになってくると思います。

小笠原:すごくシンプルに言うと、さくらはインフラの会社。コンピューティングパワーや通信が使われれば、儲らない訳がない。一点懸念があるとすれば、「どうやって」にこだわり続けてしまうこと。プロセスばかりにこだわって、ターゲットが見えなくなることが怖い。それより「マーケットありそう」の方が重要なので、新産業にはとにかく先に入っていた方がいいと思うんですよ。

IT業界ががらっと変わるフェーズが2020年より前に来る

オオタニ:ということで、あっという間に30分経ってしまったのですが、最後に田中さんと小笠原さんが考えている2020年のイメージを教えてください。

司会を務めたKADOKAWA アスキー編集部の大谷イビサ

小笠原:2020年のイメージですが、さくらで働いている人は1000人くらい。そのうち7~8割がなんらかの技術に関わっている人で、自分たちのインフラに投資しながら、共創と競争が中と外で起こっている状態かなと。こうなると、今のインフラが活きてくると思う。正直、2020年まであっという間ですからね。

田中:今の政権が500兆円のGDPを600兆円にすると言ってますが、2割もGDPが増えれば、たいがいの不都合なことはなくなります。データセンターにしても、クラウドにしてもみんなが伸びると信じることが重要だと思うんです。IoTやAIに参入するプレイヤーが増え、使う人が利益を感じられるのが2020年頃かなと。

事業者側が投資を続け、利用者側がメリットを感じられれば、マクロ視点でのGDP600兆円は決して夢ではない。IT業界の構造も、人月商売からデータ商売に変わるというフェーズが2019年くらいに来るような気がします。それを起こしていくのが業界の責任だし、2020年ってスポーツイベントというアンカーがあるので、IT業界が変わるんだと信じることが重要だと思います。

■関連サイト

前へ 1 2 3 次へ

カテゴリートップへ

この連載の記事

灯油タンクで残量検知を実現!北海道の生活を守るIoTとは【熱量IoT】#3

動画一覧はこちら!