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業界人の《ことば》から第201回

今後のパナソニックはテレビでチャレンジしない

2016年06月21日 09時00分更新

文● 大河原克行、編集●ASCII.jp

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今回のことば

 「テレビ事業は、あくまでもリスクをコントロールする領域であり、コストを割いてチャレンジする領域ではない」(パナソニック アプライアンス社の本間哲朗社長)

テレビで儲けるために安全路線を取る

 2015年度に8年ぶりの黒字となったパナソニックのテレビ事業。当初は3億円の「白字」を想定していたが、13億円の黒字と予想を上回る結果となった。「白字」とはパナソニック社内の用語で、ブレイクイーブンあるいは若干の黒字を指す。

 だが、テレビ事業の位置づけは「収益改善事業」。市場全体の成長率が低く、収益率が低い市場に置かれた事業領域であり、収益体質へのシフトが最優先だ。

 パナソニックでは、すべての事業を3つのカテゴリーに分類している。

 ひとつは積極的に非連続的な投資を行ない、グローバルでの高い成長を目指す高成長領域。アプライアンスのなかでは「エアコン」、「食品流通」のほか、電子レンジ、炊飯器、IHクッキングヒーター、食洗機、美容・健康、調理機器などで構成する「スモール・ビルトイン」が入る。

 2つめは安定成長事業。成長市場に立地し、利益率向上を図る事業と位置づけており、「デバイス」のほか、冷蔵庫、洗濯機、掃除機、温水洗浄便座で構成する「メジャー」が含まれる。

 そして3つめがテレビをはじめとする「AV」が位置づけられている収益改善事業であり、アプライアンスでは唯一、AVだけがこのカテゴリーに分類されている。

 パナソニック アプライアンスの本間哲朗社長は「テレビはあくまでもリスクをコントロールする領域であり、コストを割いてチャレンジする領域ではない」と語り、「成長率、利益率がともに低く、プレミアム化や新たな用途展開など、より儲かる立地を探す必要がある」と語る。

 社内目標として、創業100周年を迎える2018年度に年間1000万台の出荷計画があるものの「投資家をはじめとする外部に向けたコミットメントのなかには、1000万台という数字は入れていない」とし、ここでも数字を追わない姿勢を明確にしてみせる。

 2016年度は前年並みの年間640万台の計画であるが、それを拡大することは最優先事項ではないというわけだ。

 本間社長は「かつてのテレビ事業は全世界を市場ターゲットとし、プラズマテレビと液晶テレビの両方を手がけ、しかもセットもデバイス(パネル生産)もやるというフル展開の体制であった。だが、それでは収益が確保できない市場になった。そこで日本、アジア・大洋州、欧州、中南米に市場を絞った。再び対象地域を広げていくということは考えていない。米国と中国は欠けてしまうが、それ以外の地域ではしっかりやっていく」と語り、「投資を必要最小限とし、リスクを最小化。黒字化の定着を目指す」という基本姿勢を改めて強調した。

テレビ用液晶パネル生産終了は「既定路線」

 パナソニックはすでにプラズマテレビからも撤退し、液晶テレビへと集中。昨年、有機ELテレビを欧州市場向けに投入したところだ。

 そしてテレビ用液晶パネル生産からもいよいよ撤退する。

 パナソニックでは液晶パネル生産の姫路工場において、今年9月にはテレビ用の液晶パネルの生産を終了。今後はデジタルサイネージなどの産業用途向けに液晶パネルを生産していくことを明らかにした。

 2010年に稼働した姫路工場は、8.5世代のマザーガラスによるIPS液晶パネルの生産設備を備え、パナソニックの液晶テレビ向けにもパネルを供給してきた。

 だが、パナソニック アプライアンスの本間社長は「私が2011年にAVC社の企画担当常務のときに、液晶事業の方向づけに自ら携わってきた経緯がある」と前置きし「その時点で姫路工場は同工場が持つ特性を生かした産業用や車載向けにシフトすることを決めており、いよいよその時期が来たということにすぎない。いわば既定の事実である」と語る。

 そして「姫路工場は大変すばらしい技術を持った液晶工場。高精細、高輝度、高コントラストという姫路工場で生産される製品の価値を顧客に提供できる事業へと、転地した」という。

 気になるのはパナソニックのテレビ事業への影響だが「いまのパナソニックでは、姫路工場の液晶パネルは採用していないため、テレビ事業への影響はない」とする。

 では、パナソニックのテレビ事業は、どこに事業の柱を置くのか。

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