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ASCII STARTUP 今週のイチオシ!第21回

『Appleにサービスを売却する!』と意気込み、世界市場に挑む

「改善・分析だけでは不十分」アプリ成長支援サービスReproはどう伸びた?

2016年05月06日 07時00分更新

文● 三浦優子 聞き手・編集●北島幹雄/ASCII STARTUP 撮影●曽根田 元

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 「1年半前、Appleに自分達のサービスを売りたいと言っていたが、これが少しずつリアルな言葉になってきた」

画像提供:Repro

 スマホアプリの成長のために必要な機能を1つのSDKで提供しているRepro(リプロ)株式会社は、事業スタートから3年目を迎える。いわゆるBtoBのグロースハックツール提供を行っているが、すでに導入は1700アプリを超えており、利用企業は国内のみならずく海外19カ国にまで広がり、順調に拡大している。

 しかし、CEOである平田祐介氏は、「スマートに事業を拡大してきたように見えるかもしれないが、実態を知っている人は、『あいつら苦労してやっているな』と言うと思う」と苦笑いする。

 「Appleに売れる」サービスの成り立ちとは。設立から現在に至るまでReproの事業をどのように導いていったのかを平田氏に聞いてみた。

Reproの平田祐介CEO

最初の関門だった売り物にできるプロトタイプ提供

 Reproはアプリの分析からマーケティング施策までワンストップで提供しているグロースハックツール。ファネル分析やリテンション分析などのユーザー行動を用いたデータでの定量分析機能に加え、実際のユーザーのアプリ内行動を動画として再現できる定性分析機能もあり、両面からアプリの課題発見が簡単に行える。

 さらに、プッシュ通知やアプリ内メッセージ送信などのマーケティング機能も充実しており、アプリの再訪率や課金率を高めることもできる。「国内の主要アプリでは、ほとんどReproを使っていただいている」と平田氏は笑顔で話す。利用企業は日本だけにとどまらず世界19カ国に広がっているが、「広告によるユーザーはゼロ。ほぼクチコミでユーザーを獲得している」とサービスが評価されていることをうかがわせる。

画像提供:Repro

 実際に設立以来、「KDDI∞Labo」第6期 Demo Dayでグローバルクリエイト賞、フランスの大手通信企業・Orange が主催するインキューベーション・プログラム「Orange Fab Asia」第2期に採択されるなど事業の評価は高いように見える。平田氏にそう話を向けると、「順調そうに見えるかもしれないが、実態はそうではなかった。当初の予想通りには進まなかった」という返事がきた。

 ではどのような問題があり、それを乗り越えていったのか。

 事業のスタートは、平田氏がReproの前の起業時に感じた、「スマホアプリのユーザー行動を動画で分析するサービスがない」という点だった。パソコンのサイトに対しては、ユーザーがサイト内でどう動き、目的とする行動をまでどこでつまずくのかを動画で分析するサービスが存在する。ところが、スマホアプリには同様のサービスがなかった。

 「日本だけでなく、グローバルで見ても当時そういうサービスはなく、イスラエルのベンチャー企業がそういうものを作ると表明しているくらい。それに先駆けて自分たちでサービスを作ればグローバルでもシェアを獲得できる。そう判断して開発を始めたのが『Repro』のスタートだった」(平田氏)

 平田氏とCTOである三木明氏の二人で事業をスタート。2カ月でサービスのプロトタイプはできあがった。これをベースに投資家などに見せて事業資金を集めたが、実はこのプロトタイプは商業レベルではなかったという。

 「でき上がったもののクォリティが低かった。売り物にすれば使う人に迷惑をかけてしまうレベル。これではビジネスはできないと思った。短期間にプロトタイプのレベルを上げて売り物として提供できるのか、これが最初の関門だった」

 ただし、思うようなレベルの機能改善は短期間には実現しなかった。満足いくレベルのソフトウェア『Repro』が完成するまでには10カ月の期間がかかった。

品質を改善しても、ユーザー獲得に大苦戦

 できあがったReproの特徴は、ユーザーがどのようにスマートフォンアプリを利用しているのか録画して記録するというものだ。ユーザーがどのような順番でアプリを利用しているのか、どこでつまずいて、ECアプリであれば商品購入前にどのような情報をどのような順番で見ているのか、どこで商品購入を止めてしまうのかをリアルに記録する。

 「録画はできても、後ろで動いている録画部分にリソースが取られすぎてアプリに与える影響が多くなり、利用者の購買行動に影響を及ぼしてしまっては意味がない。開発初期には、『アプリがカクカク動くのだが?』といった声も挙がってしまっていた。また、当初は予想していなかった競合となる海外企業の参入もあった。ベータ版を使ってみると、向こうの方がうちよりも動画が滑らかだったので、『これができないはずはないでしょ?』とエンジニアにハッパをかけたこともあった」

 現在では競合製品と比較しても、SDKのサイズが小さく、CPU使用率、メモリ容量も少なくなり、アプリに影響を及ぼさず滑らかな動きで録画が可能となった。その技術はグローバルでも高く評価されている。

 ようやく平田氏自身も満足できるソフトウェアが完成したにもかかわらず、ここで予想外の事態が起こる。

 「2015年4月時点では、動画を録画できる機能を単体で評価するサービス事業者がほとんどいなかった。ソフトの出来栄え、品質には問題なくても、ユーザー獲得に大苦戦した」

 そこで平田氏が次に用意したのは、定量的なデータ分析結果に連動した形で利用できる動画分析機能だった。

 「ユーザーの動画をすべて記録できるだけでは、『どの動画を見ればいいのかわからない』という声があがった。そこで、必要な動画をすぐに閲覧できるよう、定量的な分析結果からワンククリックで動画を閲覧できる機能を付加した。たとえば、購買や課金前に離脱してしまったユーザーがその前後でどのような行動をしているかを簡単に分析できるような機能などを提供した」

 しかし、ユーザーの声を聞きながら分析機能を充実させても、利用アプリ数は思ったようには伸びなかった。

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