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いま聴きたいオーディオ! 最新ポータブル&ハイエンド事情を知る 第1回

DDFA利用のヘッドフォン再生、打楽器が気持ちよく空間にはじける

多機能で高音質、DNP-2500NEはフルデジタルで使いやすい (2/3)

2016年03月04日 15時00分更新

文● 小林、編集●ASCII

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前面の有機ELディスプレーが予想以上に便利だ

 実際に利用しながらサウンドを確かめてみよう。

 まずはアナログ出力を使用。すでに導入しているネットワークプレーヤーと入れ替える形でアンプにつなぎ、スピーカー再生する。ネットワーク接続はWi-Fiと有線の両方を試したが、先に紹介した機能により、手順は非常にシンプルだった。ただし初回接続時、設定が完了までの処理に結構な時間がかかった。

iPhoneのミュージックアプリから、AirPlayで再生中。アルバム名、曲名に加え、曲全体の何%まで再生しているかまで一目でわかって秀逸。日本語フォントも見やすい。

 本体前面に日本語表示に対応した有機ELディスプレーが用意されている点は予想以上に実用的だ。非常に見やすいし、基本設定はこのディスプレーを見ながらのリモコン操作だけで完結する。文字が大きく日本語対応なので、NASなどに保存した音楽ファイルを選ぶ際にも不満は感じない。また、radikoなどのアプリを使い、AirPlay再生する場合でも番組情報をかなり詳細に表示できる。目立たない部分だが、本機を利用するうえでの大きなメリットになると思った。

このつまみ(またはリモコン)と有機ELディスプレーでかなりの操作が完結するのはいい。

背面。Wi-Fi用のアンテナが2本装着できる。ただし高さがかなりあるのでラックに入れる際には注意だ。

 本体サイズは幅434×奥行き377×高さ138mmで、重量は11.7㎏。重量はともかくサイズが大きめなので、デスクサイドに置くというよりはラック収納が基本となると思う。ただアンテナを立てると高さが198mmとなり、内寸が低めのラック(170mm程度)には収まらない。事前にチェックしておきたいポイントだ。

フット部分

 さて、ラックに収納するとなると、ネットワーク再生のほうが利便性が高いが、注意点としては、24bitまでの対応であり、最近配信楽曲が急に増えてきた32bitの音源には対応できない点。ここは残念と言えば残念な部分だが、市販の機種を眺めても対応しているものは少ないので止むを得ない部分だろう。一般的なハイレゾ音源(最大で192kHz/24bit程度までを想定)の再生には問題がないが、これを上回るクオリティーの音源を再生する場合は“PC接続で”ということになる。

 なお内部的な話をすると、PC接続時の外来ノイズを防ぐためデジタルアイソレータ―や、USB回路用の電源をトランス巻き線から分離したり、最大768kHzのオーバーサンプリングに対応した“ADVANCED AL32 PLUS”の採用、44.1kHz系と48kHz系のクロックを分け、かつDACチップの直近に置いたクロックでAL32用のFPGAやUSB入力回路も動作させる“DACマスタークロックデザイン”など上位のSX11シリーズで培った技術も盛り込んでいる。

クリアーなサウンドは新世代のデノンの音を感じさせる

 機能に続いて、スピーカー再生の音質からチェックする。

 まず初めに「デノンというと厚み」と個人的にイメージしていた。中低位機が充実していてスケール感がある印象の音という意味だ。しかし、DNP-2500NEのサウンドはこれとは違う傾向。ボーカル中心のポップスやサントラ、オーケストラなど数曲を聞く。少しおとなしいな、というのが最初の印象。ただし低域は結構強めに出ている。特に打ち込みベースなどはかなり前に出てくる感じ。また、芯があって締まっている。音楽の弾む感じや、ビート感を意識させる。

 解像感や情報量はそれほど欲張っていない。しかしこの力強い低域に支えられているためか、聞きこむと「結構、エッジの利いたサウンドだな」と思える場面が出てくる。より印象的だったのは、空間表現の秀逸さ。左右のセパレーションがよく、音像の定位も明確だ。総じてクリアーかつ透明感のあるサウンドという印象。空間や場を強く意識させる。これまでのデノンサウンドとも一味違う。Hi-Fi機器として現代的な雰囲気が醸し出されている。

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