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業界人の《ことば》から ― 第173回

歴代社長やCFOら5人に対する損害賠償額は合計で3億円

不適切会計処理の舞台となった東芝のPC事業の行方

2015年12月08日 09時00分更新

文● 大河原克行、編集●ASCII.jp

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今回のことば

 「元役員に善管注意義務違反があると判断されたことを厳粛に重く受け止め、過去と決別し、再発防止策の実施に努める」(東芝・室町正志社長)

損害賠償額は合計3億円

 東芝は、98人の取締役、執行役を対象に調査をな行い、そのうち不適切会計に関与した可能性がある対象者を14人に絞り込み、そのなかから、社長を務めた西田厚聰氏、佐々木則夫氏、田中久雄氏と、最高財務責任者(CFO)を務めた村岡富美雄氏、久保誠氏に対して、償請求訴訟(責任追及等の訴え)を東京地方裁判所に提起した。

 5人に対する損害賠償額は合計で3億円。

 東芝の室町正志社長は、「訴訟については、会社法上、監査委員会の専権事項となっているため、内容はコメントできないが、元役員に善管注意義務違反があると判断されたことを厳粛に重く受け止め、過去と決別し、再発防止策の実施に努める」とし、「元役員に対する責任追及訴求についても、年内に監査委員会から説明する機会を設けることを検討している」と語った。

Buy-Sell取引における善管注意義務違反への訴訟

 東芝では、歴代3社長に対する訴訟については、次のように説明する。

 西田元社長は、Buy-Sell取引における利益の計上に関し、取締役兼代表執行役社長在任中であった2008年度第2四半期から2009年度第1四半期の各期末において、執行役および取締役としての善管注意義務違反が認められ、これと相当因果関係にある損害につき、民事訴訟の提起によって、これらの責任を追及することが相当であると判断した。

 また、佐々木元社長に対しては、ある該当案件において、損失引当金の計上に関し、取締役兼代表執行役社長在任中であった2011年度第4四半期から2013年度第1四半期の各期末において、執行役および取締役としての善管注意義務違反が認められたほか、Buy-Sell取引における利益の計上に関し、取締役兼代表執行役社長在任中であった2009年度第1四半期から2013年度第1四半期の各期末において、善管注意義務違反が認められ、かつ不適切なキャリーオーバーの実施に関し、取締役兼代表執行役社長在任中であった2011年度第1四半期から2013年度第1四半期の各期末においても善管注意義務違反が認められるとした。

 これらの各違反と相当因果関係にある損害につき、民事訴訟の提起によって責任を追及することが相当であると判断したという。

田中社長は、Buy-Sell取引や不適切なキャリーオーバーの実施などが善管注意義務違反に

 そして、田中前社長については、ある該当案件について、損失引当金の計上に関し、取締役兼代表執行役社長在任中であった2013年度第2四半期および第3四半期の各期末において、善管注意義務違反が認められ、別の案件では、2013年度第1四半期から同年度第3四半期の各期末において、善管注意義務違反が認められたほか、Buy-Sell取引における利益の計上に関し、調達グループ担当執行役在任中であった2008年度第2四半期から2013年度第1四半期の各期末、そして、取締役兼代表執行役社長在任中であった2013年度第1四半期から2014年度第3四半期の各期末において、善管注意義務違反が認められ、かつ、不適切なキャリーオーバーの実施に関しても善管注意義務違反が認められたとして、民事訴訟の提起によってこれらの責任を追及することが相当であるとしている。

 東芝は、5氏に対して、連帯して3億円の支払いを求めるが、現時点で判明している損害は、過年度決算訂正のために業務を委託した公認会計士等会計専門家に対する報酬や上場契約違約金など、合計10億円超と見込んでおり、これを当該損害額の内金3億円の請求としている。今後、新たな損害が発生した場合には、適時請求の拡張を検討する予定だという。

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