ヒエログリフで記述されたロゼッタストーンよりはるか昔より、人は人に有用な情報を伝えたくて、絵や文字を書くための道具をいろいろ工夫してきた。
石器からはじまり、動物の骨や金属、革、紙、フィルム、プラスティック、LSIまでその探究は留まるところを知らない。
デジタル技術が一般的になった現代でもそこはあまり変わっていない。イタリアに本拠を置く、レーシングカーや高級車の工房であり、昨今はライフスタイル商品にまで手広く扱うピニンファリーナがナプキンと共同で“削らなくてもずっと使い続けることのできる鉛筆”を開発した。
芯のないペン「PININFARINA CAMBINO」
商品名は「PININFARINA CAMBINO」(ピニンファリーナキャンビーノ)と少し長ったらしい。昨今、街で見かけることの多い100円ショップで流通する安価な商品などと二極化する、ステーショナリー市場の高級路線を狙う限定アイテムだ。
一般的には“芯のないペン”と形容されることが多いが、実際の商品をしばらく使ってみると、その筆記感覚や筆跡の感じは万年筆やボールペン系ではなく、限りなく我々が子供の頃からもっとも慣れ親しんだ鉛筆に近いものだ。
なんと“レオナルド・ダ・ビンチもユーザーだった”というように、古くからその概念や素材はあったプロダクトのようだ。
実際には芯先は減る
でも、どれくらい使えるかは不明
全体の外観はスリムな紡錘形だ。鉛筆を握るときに人差し指と親指の腹に当たる部分にはウォールナットなどの、やはり紡錘形のウッドが贅沢に使用されている。
一般的な鉛筆の芯先に当たる部分には「イサーグラフ」と名付けられた謎の合金製の芯先チップが採用されている。
ピニンファリーナキャンビーノは筆記時に、この先端部分が紙面との摩擦により瞬間的に酸化し、サビのようなモノを発生させ、それが紙面にこびり付き、筆跡となる仕組みのようである。
一方、歴史の長い鉛筆は、黒鉛と粘土を練り合わせた素材である“芯”を使用し、芯先と紙面の摩擦により、粒子状になった芯が紙面に張り付くことで筆跡となる仕組みだ。
そのため、芯先は筆記回数に比例して、どんどんちびて短くなってくる。そして、芯先を露出させるために適時鉛筆を削ることが必要となってくるのだ。
ピニンファリーナキャンビーノは、金属チップの芯先なので、基本的に大きくちびてくることはない。しかし、実際に何度か使った後、超接写で撮影してみたところ、当然ながらほんのわずかだがちびてきていることは確認できた。
芯先チップを交換することなくどのくらいの文字が書けるのか興味深いところではあるが、その推定数値も交換チップの話題も今のところどこにも登場してきてはいない。
几帳面なユーザーであれば、ちょっと不安になるであろうが、筆者なら芯先が完全にちびて、文字が書けなくなるよりも先に、なくしてしまうか飽きてくる方が先だと思うので、それほど気にはならない。
次ページへ続く、「鉛筆に例えるなら3H~4Hの濃度」
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