データ転送速度によって異なるSDメモリーカード規格
おそらく一番分かりにくいのはデータ転送速度の規格だろう。ここまでで紹介してきたすべてのSDメモリーカードには「スピードクラス」が定められており、データ転送速度による性能差が明確になっている。
スピードクラスには「SDスピードクラス」と「UHSスピードクラス」の2種類がある。
当初、SDメモリーカード全般に対してSDスピードクラスが設定され、クラス2/4/6/10の4クラスが設けられた。クラス2は2MB/秒、というように各クラスの数字が転送速度(MB/秒)を示している。
なお、各クラスの転送速度は、連続データ書き込みにおける“最低速度”を保障したもので、クラス10だからと言って10MB/秒の転送速度、ということではない。このため、SDメモリーカードのパッケージには「リード50MB/秒、ライト30MB/秒」と表記されていることも多い。
これは「最大データ転送速度」だったり「最大データ書き込み速度」だったりする。最低データ転送速度しか明示されないクラス表記に対し、製品の優位性を示すものとして併記されていると思われる。
さらに「133倍速」「133x」のような「倍速」表示によってその速度を示している製品もある。その場合は、データCDの転送速度である150KB/秒を基準に「○○倍速」という表記になっているようだ。
近年、高画質デジイチや高解像度デジタルビデオカメラなどが登場し、より高速なデータ転送速度が求められるようになると、同じSDメモリーカードでもさらに高速なデータ転送速度を実現する「UHSインターフェース」が生まれた。UHSのバススピードは50MB/秒以上となっており、通常のSDメモリーカードよりも高速なのが特徴だ。
UHSインターフェイスには「UHS-I」と「UHS-II」の2種類があり、UHS-Iは104MB/秒、UHS-IIでは同312MB/秒の最大データ転送速度(理論値)となっている。
そのUHSインターフェースでもスピードクラスが設定されることとなり、それが「UHSスピードクラス」というわけだ。
UHSスピードクラスには、現時点ではクラス1(10MB/秒)とクラス3(30MB/秒)が設定されており、最低速度を保障している。
……というように、極めて分かりにくいことになっているので、表にまとめてみた。
表にあるように、各クラスごとに“マーク”が設定されており、各種SDメモリーカードには対応するクラスのマークが付加されている。
高速なクラスほどクオリティーの高い静止画や動画を安定して保存可能となっているが、当然ながら対応機器もまたそのクラスでのデータ読み書きに対応していなければならない。
また、クラスに対する要件は上位互換となる。たとえば、あるデジカメが「SDスピードクラス6のSDメモリーカードの使用が必須」という仕様なら、クラス6またはクラス10のSDメモリーカードを利用できることになる。
ただし、UHS-I/UHS-IIに関してはそれぞれに対応する機器が必要。特にUHS-IIは物理端子が増えているので、まだ対応する機器は少なめだ。
確かにクラス表記は性能比較の世界基準ではあるが、あくまでカードと機器の対応を示しているもの。より高速なSDカード製品を! と考えるなら、クラス表記以外の数値を参考にするのがいいだろう。
次ページへ続く、「SDメモリーカードの価格推移」
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