Microsoftが1月に入り、Windows Phoneベースのスマートフォンを数機種発表している。ただし、税抜の予想価格が81ドルの「Lumia 435」などエントリーモデルが中心だ。新しいハイエンド機種よりもローエンドに傾倒しているように見えてしまうMicrosoftの戦略をみてみたい。
ハイエンドは既存モデルの別エディション
新機種はローエンドから
Microsoftは2015年に入り、5機種の端末を発表している。まずは年始のCES、ここでは「Lumia 930 Gold」「Lumia 830 Gold」を発表した。2014年に投入していたハイエンドのLumia 930/830のゴールド版で、スペックはそのままにゴールドのフィニッシュを入れた。高級感が増しただけでなく、黒と白というLumiaらしからぬおとなしさ(Lumiaは通常、黒、白はあっても緑やオレンジなどのポップな色も揃える)も目を引く。
830と930は「Windows Phone 8.1」をベースに5型のフルHD画面、Nokia時代に開発したカメラ技術「PureView」を利用したカメラ(Lumia 830は10メガピクセル、同930は20メガピクセル)などの特徴を持ち、ネットワークはLTEに対応する。
CESではまた、Series 30ベースのフィーチャーフォン「Nokia 215」も発表している。FacebookやTwitterなどのアプリが利用でき、29ドルという価格を実現した。単一SIMとデュアルSIMの2機種がある。
そして1月14日に発表した最新のLumiaスマートフォンが「Lumia 435」と「Lumia 532」だ。詳細は別ニュース記事をご覧いただくとして(関連記事)、この2機種の特徴は価格だ。Lumia 435は69ユーロ(81ドル)、Lumia 532は79ユーロ(90ドル)とともに100ドルを切るWindows Phone 8.1スマートフォンとなる。
Nokia Xの流れを組むエントリーモデル「Nokia 435」
MicrosoftがNokiaのデバイスとサービス事業部を買収したのが2014年春。そこから1年弱が経過した段階だが、その間登場した機種を振り返るとミッドレンジ~ローエンドにフォーカスしているように見える。市場もハイエンドの主戦場である米国よりも、欧州や中東、アジア、インド、中国などが中心だ。モバイルフォン事業部コーポレートバイスプレジデントのJo Hawlow氏はNokiaでSymbian事業などを歴任してきた人物で、Nokia時代に強かったセグメントと地域を引き続き強化しているように見える。
もちろん、ローエンドは”華”はないが、重要だ。スマートフォン市場は成長国から途上国市場に拡大している。「Firefox OS」のMozilla、「Android One」で地元メーカーと組んで安価なAndroidスマートフォン提供に取り組むGoogle、そしてMicrosoftにとってはそれぞれに目的がある。
MozillaはHTML5などのオープンなWeb技術、GoogleはGoogle検索からGoogle Mapsに始まるGoogleアプリやサービス、そしてMicrosoftは「Office」「Bing」「Skype」など、プラットフォーム上で利用されるサービスやアプリの促進だ。
その観点からみて、初の400系となるLumia 435とLumia 532は使命を果たすための特徴(OfficeなどMicrosoftソフトウェアのプレインストールと価格)を備えているといえる。
MicrosoftはNokia買収完了後、ミッドレンジからローエンドの整理を進めてきた。具体的には買収前にNokiaが開始したAndroidフォークの「Nokia X」、Series 40の後を次ぐ「Asha」の2つのラインを打ち切った。穴を埋めるのはWindows Phoneだ。
さらなるローエンドはフィーチャーフォンで「Nokia」ブランドを利用して安価なラインを作成するというものだ。そして、Lumia 435をみると、Nokia Xに似た外観を持っておりNokia Xの流れを汲むといえるだろう。
なお、この市場ではSamsungが1月14日に(やっと)インドでTizenベースのスマートフォン「Samsung Z1」を発売することを発表している。価格は100ドルを切ると言われている。インドはGoogleのAndroid One機種がMicromaxなどから登場しており、激戦区となっている。
(次ページでは、「次のハイエンド端末はかなり先?」)
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