今回のことば
「日本の労働力が減少するなか、社員の生産性向上と、女性や高齢者が働けるオフィスづくりが必要。今回のオフィスリニューアルはそれを視野に入れたもの」
(内田洋行・大久保昇社長)
部門を越えた情報共有、自己作業への集中など自由な場所を選択
内田洋行が、東京・新川の同社新川第2オフィスをリニューアル。その内容を公開した。
同オフィスは、2012年2月に稼働した当初から、同社が掲げた「Change Working」プロジェクトの実践の場と位置づけており、この約2年半はそのファーストステージとして、自ら活用および検証に取り組んできた。
基本構成はアドレスフリーとし、ミーティングスペースなどの共有機能を自在に使いこなすことができるようにしたのが特徴だ。
同社では、「ActiveCommons」というコンセプトにまとめた新たなオフィス空間を提案。固定席を廃止し、業務に応じた最適な場所を選んで働くとともに、単なるフリーアドレス方式ではなく、部門を越えたコミュニケーションの強化と、他者とのスピーディな情報共有、自己作業の集中といった仕事の内容に合わせて自由に場所を選択する働き方を提案しており、この考え方を「Change Working」プロジェクトにも取り入れている。
「ワークスタイルの変化や、モビリティの浸透、ペーパレス化の広がりのほか、即座に打ち合わせを行うといった迅速性が重要視されている。よりコラボレーションを活性化させるオフィスづくりに関心が高まっている」という時代の変化を捉え、新たな働き方に適したオフィス環境を目指してきたのが特徴だ。
「Change Working」プロジェクトによる約2年半の実証実験の結果、いくつかの効果が明らかになったという。
効率的な業務環境を実現したことで、営業部門においては顧客対面時間比率が2.1倍に増加。さらに、社員の自発的な学習機会は、3倍に増加したという。また、相談や検討型ミーティングの時間は1.2倍に増加。これまで面識がなかったメンバーとのコミュニケーションが増えたと回答した社員も83%に達するなど、オフィス環境の変化が、コミュニケーションの活性化につながっていることが浮き彫りになった。
さらに、提案書登録件数が2倍に増加、書類の保管量は26%にまで縮小するという成果も出ているという。
「仕事のパフォーマンスを最大限に発揮するための最適な場の提供」という「Change Working」プロジェクトの目的が達成されているといえよう。
だが、その一方で、いくつかの課題も明らかになった。
同社独自の組織風土診断ソフト「Team Culture Visualizer」および、働き方・働く場診断ソフト「Work Performance Viewer」を活用し、検証を行ったところ、ここでは、コミュニケーションのとりやすさや、場所の選択のしやすさといった項目に関しては、重要度が高いにも関わらず、実現度には乖離が大きいといったことなどがかわったという。
さらに、営業部門が持つ特性も顕在化し、それにあわせたオフィスづくりが求められていることも明らかになった。
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