このページの本文へ

前へ 1 2 次へ

変革を続ける30年目のデルを追う 第3回

総額1億2500万ドルをパートナービジネスに投資

直販の旗手はもはや過去の姿?パートナー販売強化で変わるデル

2014年11月12日 09時00分更新

文● 大河原克行

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

「デルのパートナー戦略を信頼して欲しい」。現地時間の2014年11月4日から始まったデルの年次イベント「Dell World 2014」の基調講演で、米デルのマイケル・デル会長兼CEOは、会場に集まったパートナーに向けて、こう呼びかけた。

Dell World 2014でパートナー連携の重要性に触れるマイケル・デル会長兼CEO

パートナー企業が参加した今年のDell World 2014

 今年で4回目となるDell World 2014は、昨年まではエンドユーザーを対象に実施されていたが、今年は初めてパートナー企業が参加。開催初日にはパートナーサミットが併催され、全世界のパートナー企業1500人の前で、新たなパートナープログララムと、インセンティブ制度を発表。総額1億2500万ドルをパートナービジネスに向けて投資することを明らかにした。

 パートナービジネスを統括する米デル グローバルチャネル&アライアンス担当バイスプレジデントのシェリル・クック氏は、「われわれが実施したいプログラムはなにかということを列挙し、それを各リージョンで展開した結果、どのぐらいの費用が必要かということをもとに算出したのが、1億2500万ドル」と語るが、同社のパートナー向け投資額としては過去最大規模になる。「デル全体の売上高の伸び率よりも、パートナープログラムへの投資の伸張率の方が上回っている。パートナーからあがってきた収益をさらに再投資していく仕組みを構築している」と続ける。

米デル グローバルチャネル&アライアンス担当バイスプレジデント シェリル・クック氏

 この投資をデルでは、「ビジネス・アクセラレーター・ファンド」と呼び、同社新年度が始まる2015年2月からスタート。パートナーの入札、新規案件の獲得、既存顧客に対する継続的な営業を支援するものになる。

 具体的には、Premier/Preferredパートナー各社を対象にストレージソリューションの販売に関する報奨金制度を強化した「デル・ストレージ・アクセラレーター」、Windows Server 2003からの移行提案を支援する「Windowsサーバー・マイグレーション・キャンペーン」、クライアントおよびエンタープライズソリューション関連ビジネスを成長させるための報奨金制度である「クライアント/エンタープライズソリューション向けアクセラレーター」のほか、パートナー向けの検証およびデモ用機器に対する投資を2倍に拡大。米国、カナダおよび一部欧州において、単年で20億ドルの売り上げを達成したパートナーに向けて融資を実施することで、パートナーは資金の流動性と購買力の向上を図ることができるという。ここでは、パートナーが購入したデル製品に対して、75日間の無金利融資を提供する。

Dell World 2014で発表された新たなパートナー向けプログラム

 さらに、数1000万ドルの投資を行ない、パートナー向けITシステムの向上とともに、営業案件を共有する仕組みを構築。さらに、トレーニングや認定資格の実施、ナビゲーションやモビリティなどの各種ツールの強化も図る。これらの施策は、まずは米国からスタート。日本での展開時期は今後明らかになる。

パートナー販売はすでに40%以上

 デルにとって、パートナーチャネルの活用は、成長戦略における重要な柱になっている。「パートナーを通じた間接販売が収益全体に占める割合は40%以上。すべての市場において、もっとも急速な成長を達成している」と、米デルのマイケル・デル会長は語る。

米デルのマイケル・デル会長兼CEO

 パートナービジネスは、トップ11カ国中10カ国で2桁成長を達成しており、世界トップ5のディストリビューターのうち、3社がデルの製品を取り扱っている。ディストリビュータールートの流通量は、前年比で50%増えたという。

 米デル 南アジア地域担当バイスプレジデント兼マネージングディレクターのティアン・ベン・ナグ氏も、「昨年のパートナー販売の構成比は30%。この1年間で急成長を遂げている。とくにアジア太平洋地域では、パートナー販売の比率が50%に達している」とする。特にフィリピン、インドネシア、ベトナムでは、パートナーチャネルを通じた販売が100%となっており、それがアジア太平洋地域でパートナービジネスが先行している理由になっている。

米デル 南アジア地域担当バイスプレジデント兼マネージングディレクターのティアン・ベン・ナグ氏

 「日本では、ソリューションを持つシステムインテグレーターとのパートナーシップの強化が鍵である。これにより、これまで以上に、エンタープライズソリューションの強化を図りたい。日本でのプレゼンス拡大に向けて戦略的パートナーとの連携を進めていく」と、米デル グローバルチャネル&アライアンス担当バイスプレジデントのシェリル・クック氏は、日本におけるパートナービジネスへの期待を述べる。

(次ページ、エンドツーエンドのソリューションベンダーへ生まれ変わるデル)


 

前へ 1 2 次へ

カテゴリートップへ

この連載の記事

アスキー・ビジネスセレクション

ASCII.jp ビジネスヘッドライン

ピックアップ