エンドツーエンドのソリューションベンダーへ生まれ変わるデル
デルがパートナービジネスに力を注ぐ背景には、「デルの変革」がある。
米デル アジア太平洋地域担当プレジデントのアミット・ミダ氏は、「私がデルに入社した19年前は、PCの会社であったが、いまでは、エンドツーエンドのソリューションカンパニーへと変革してきた。時代の変化にあわせて、柔軟に変革することができる体制を持っているのがいまのデルの特徴」と前置きし、「顧客に対して包括的なエンドツーエンドのソリューションを提供するには、パートナー各社との連携が不可欠」と、パートナールート拡大の理由を述べる。
デルは、パートナービジネスを拡大することで、新たに掲げた「総合的テクノロジー・ソリューション・ベンダー」への変革を図る一方、直販だけではなく、Webや電話、そしてパートナールートを通じたオムニチャネルを基本戦略として、顧客がどこからでも購入できる体制を確立することになる。
「パートナービジネスを開始したのは、7年前。他のITベンダーに比べると歴史が浅い。仕組みを構築するには、パートナーの意見を聞いている」(米デル・ナグバイスプレジデント)とし、同社独自のパートナー支援策についても実験を繰り返しながら進化させているところだ。
「アジア太平洋地域では、エンジニアーズクラブと呼ぶ仕組みを、中国、インド、韓国の3カ国において、2012年から立ち上げている。チャネルパートナーに対して、デルから技術トレーニングを提供。トレーニングを受講したり、案件を登録するとポイントを付与し、それに基づいてインセンティブを提供することになる。現在、中国で767人、韓国で91人、インドで146人の合計1054人が登録されている。これを、2015年から日本を含むアジア太平洋地域全体で展開することになる」(米デル・ナグバイスプレジデント)とする。
課題はデル・ソフトウェアとのプログラム統合
Dell World 2014に参加したパートナーからは、デルに対する期待が高まっている。
「パートナーサミットに出席したパートナー各社から、強い熱意を感じた。デルとのパートナーシップによって、ビジネスが急速に伸びているというパートナーもいる。デルが持つ幅広い製品ボートフォリオによって、エンドツーエンドのソリューションを、パートナーが扱えるようになったことに加え、シンプルな仕組みであり、エンゲージメントしやすい企業であるとの評価ももらっている。パートナーの成功に貢献したい」と、クックバイスプレジデントは語る。
課題をあげるとすれば、現在、デルとデル・ソフトウェアで分かれているパートナープログラムの統合であろう。これは世界規模で推進しなくてはならない課題である。
米デル・ソフトウェアのバリー・シェアーズバイスプレジデントは、「過去3年間で19社のソフトウェア企業などを買収。各社がそれぞれに持っていたパートナープログラムをひとつに統合した。これにより、セキュリティツールしか販売できなかったパートナーが、管理ツールを販売するといったようにビジネスが拡大している例も出ている。今後は、デルのハードウェア製品しか扱ってこなかったパートナーにも、デル・ソフトウェア製品を扱ってもらえるようになる」と語る。
とはいえ、パートナープログラムの統合にはもう少し時間がかかりそうだ。デルでも、2つのパートナープログラムの統合時期は明確にしていない。だが、これが統合することで、デルのパートナービジネスはさらに加速することになる。まだ発展途上のデルのパートナープログラムの進化は、これからだ。
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