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業界人の《ことば》から 第112回

米Oracleエリソン会長が、基調講演欠席、謝罪したわけ

2014年10月08日 09時00分更新

文● 大河原克行

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30年前にユーザーとした約束を果たす

 エリソン会長は、「オラクルは、SaaS、PaaS、IaaSのすべてを一緒に提供するのが基本姿勢。そして、すべてのインフラを自らが提供できる点が他社にはない特徴だ」とする。

 オラクルは、OracleDatabaseや、Engineeredシステムなどのハードウェアを持ち、これをSaaSプロバイダーに提供。「SaaSプロバイダーの上位20社中19社がオラクルを利用している」という。

 対抗心を露わにした対象のセールスフォース・ドットコムも、オラクル製品を利用しているSaaSプロバイダーのひとつだ。

 そして、エリソン会長は、「SaaS、PaaS、IaaSのすべてを一緒に提供するのは、30年前にユーザーと約束したことでもある」とも語る。30年前にはクラウドという言葉は生まれていない。クラウドという言葉を使ったのは、一般的には、2006年にグーグルのエリック・シュミット氏が最初だと言われている。

 では、なぜエリソン会長は、SaaS、PaaS、IaaSという3つのクラウドを提供することを、「30年前からの約束」という言い方をするのだろうか。

 エリソン会長は、それを次のように説明する。

 「オラクルは、ミニコン向けに開発した第1世代のデータベースから、第2世代のクライアント/サーバー時代に入る際に、そのままデータを移行できるようにした。これはユーザーからの要望によるものだ。自分たちが持つアプリケーションやデータを、コードを書き換えずに、次の世代の技術に移したいというユーザーの要望に応えたのが30年前。それは、第3世代となるインターネット時代に入ったときも同じであり、今回の第4世代のクラウド環境へと移行するにあたってそれは同じ。だからこそ、SaaS、IaaS、PaaSを自ら提供し、ボタンをワンタッチするだけで、オンプレミス環境からクラウド環境へと移行できるようにした」とする。

 これがエリソン氏がいう、オラクルが30年前に顧客と約束したことの意味だ。

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