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事例もテクノロジーも満載!NTT Com Forum 2014 ― 第4回

クラウドエバンジェリストがオープンデータを語る理由とは?

オープンデータってなに?NTT Comの林さんが教えてくれた

2014年10月10日 10時00分更新

文● 大谷イビサ/TECH.ASCII.jp

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NTT Communications Forum 2014で今話題のオープンデータの概要と現状について講演したのが、NTTコミュニケーションズのクラウドエバンジェリストの林雅之氏。オープンデータの著作もある第一人者の講演だけに、25分の短い尺でもすっきり理解できた。

新しいビジネスの呼び水となる?オープンデータの登場

 ビッグデータブームの流れで大きな注目を集めているオープンデータ。一般的には「政府や自治体が公開している無償で利用可能なデータ」といったイメージしかないが、林氏によると実際はいくつかの定義があるという。

NTTコミュニケーションズ クラウドエバンジェリスト 林雅之氏

 狭義のオープンデータでは、「政府や自治体などの公共機関がオープンに提供可能な行政情報で、機械判読に適したデータ形式で提供される二次利用可能なデータ」というもの。とはいえ、単に二次利用可能なだけではなく、マシンリーダブルであることが1つの特徴。とはいえ、広義には政府や自治体だけではなく、個人や企業のデータを指す場合もあるという。

さまざまなオープンデータの定義

 オープンデータが注目を集めるきっかけになったのが、2013年6月に開催されたG8サミットの首脳宣言に盛り込まれた「オープンデータ懸賞」。この中では、質の高いデータを幅広く公開し、多くの人が利用可能にするといった原則が合意されている。「この中では特にイノベーションのためにオープンデータを活用するというのがポイント」(林氏)。法人、地球観測、教育、エネルギー、地理空間、統計など価値の高い14分野もあわせて選定されている。

 一方、日本では昨年4月の日本経済新聞に掲出された「公共データ 民間開放~新産業を創出」という記事のインパクトが大きかったという。この中では「各省庁のデータ形式を統一し、2014年度中にも一括検索可能にする」と書かれているほか、新たな産業やビジネスの呼び水として期待されている点が明記されている。

日経新聞一面のインパクトが大きかった

 実際、オープンデータの市場規模は、G20では5年間で13兆ドル、マッキンゼーの試算では教育、交通、コンシューマ製品、電力、資源、医療、金融などの分野で500兆円を見込む。1980年代にレーガン大統領がGPSデータをオープンにしたことから、現在では900億ドルの位置情報サービスの市場が生まれたという例があり、あながち大風呂敷とも言えないようだ。

自治体が先行?日本はオープンデータ後進国

 では、オープンデータの活用はどうなっているのだろうか? データ活用先進国の米国連邦政府は、2009年5月にData.govというサイトを開設しており、連邦政府の保有する統計情報を公開している。現在では36州、20都市、180の行政機関が参加し、11万のデータセットが公開されている。

米国連邦政府のオープンデータポータル「Data.gov」

 人気が高いのは、過去の地震情報や経済や対外援助に関するデータ、ホワイトハウスの訪問数などだが、そのほか連邦預金保険公社に加入する銀行リストや米農務省の食品別の栄養データ、さらには800箇所におよぶデータセンターの位置情報まであるという。この結果、データセットを使ったアプリケーション開発も進んでおり、政府だけでも1300以上提供している。

 これに対して、日本のオープンデータ活用は先進国と比べて遅れているのが現状。Open Knowledge Foundationが政府支出、選挙結果、交通時刻表、汚染レベルなどの主要10分野において情報の入手可能性とアクセスのしやすさを国ごとにランクしたオープンデータインデックス(http://global.census.okfn.org/)の2013年度版によると、日本は70位中30位。林氏は、「毎年そのランクを落としてきた。先進国に追いつくのが課題」と指摘する。

日本のオープンデータの進捗度

 当然、このままではまずいということで、日本政府は2012年7月に「電子行政オープンデータ戦略」を策定。2013年の「世界最先端IT国家創造宣言」で経済活性化の取り組みとしてオープンデータを位置づけ、年末にはデータカタログサイトの試行版を立ち上げる。そして、先日データカタログサイト「DATA.GO.JP」が正式にスタート。当初は複数の機関が保有する1万2000のデータセットが用意され、データ提供機関を横断して検索できるようになっている。

 自治体でもオープンデータ活用が進んでいる。もっとも有名なのは、福井県の鯖江市。データシティ鯖江を標榜した同市は、統計情報、公園のトイレ、消火栓などの施設情報、鯖江百景の位置など45種類ものデータをXMLやRDFで積極的に公開。市民や民間企業などにより、ライフマップやバスの運行情報など90種類以上のアプリを開発しているという。林氏は、「市長と事務方のトップ、そして市民が一体となって取り組んでおり、北陸全体に拡がりつつある」と評価する。

福井県の鯖江市ではデータシティを標榜し、さまざまな取り組みが展開されている

(次ページ、オープンデータの成功を支えるエコシステム)


 

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