キヤノンシステムアンドサポート(キヤノンS&S)は9月29日、ビデオ会議システム「telyHD Pro」の販売を開始した。本体価格(税抜)は9万8000円からで、従来の高価なビデオ会議システムがターゲットとしてこなかった中小企業市場や、ビデオ会議“以外”の新たな活用シーンを狙う。
telyHD Proは、2011年設立のスタートアップ企業、米telyLabsが開発/製造する製品。インターネットとクラウドサービス「telyCloud」を介し、720p動画(H.264/263)で最大6拠点までを接続したビデオ会議ができる。従来のビデオ会議システムでは、最低でも複数拠点で数百万円クラスの投資が必要だったが、MCUの機能をクラウドで提供するなど低コスト化を図り、中小企業でも導入しやすい価格帯を実現している。
telyHD Proを設置した拠点どうしだけでなく、個人の「Skype」デバイス(PC/スマートデバイス)や、シスコやポリコムのSIP対応音声/ビデオ会議システムとも接続が可能。さらに「Blue Jeans」などのサードパーティクラウドを利用すれば、より多拠点(25拠点まで)/多様な接続先に対応する。
telyHD Pro本体にはワイドアングルカメラと4つのマイクを内蔵しており、HDMI接続したテレビ/ディスプレイに映像と音声を出力する(オプションでテーブルトップ型スピーカー/マイクも販売)。有線EthernetまたはWi-Fiで社内ネットワークに接続し、ネットワーク側の設定変更なしでクラウドと暗号化通信を行う。操作はすべて付属リモコンで行う。
本体価格(初年度サービス費込み、税抜)は9万8000円で、テーブルトップ型スピーカー/マイク付きのセットは11万6000円。また、2年目以降の年間サービス費は3万9800円。なお、サービス費にはtelyCLoud利用料も含まれている。
キヤノンS&Sでは今回、telyHD Proの日本輸入元であるデータコントロールと協業し、全国の中小企業市場への展開を図る。キヤノンS&Sは全国約200個所の拠点から、telyHD Proの販売、設置、設定を行う。製品の保守対応はデータコントロールが行う。
キヤノンS&Sでは、低コストで導入できる特徴を生かし、ビデオ会議以外の活用法も積極的に提案していく。たとえば、本社と地方拠点のオフィス間や、広い敷地内に点在する工場間のコミュニケーション活性化、受付スタッフのいない拠点に対する遠隔受付代行、観光案内所やインフォメーションデスクなどのコンシェルジュ対応、倉庫やクリーンルーム、食品工場などの監視といった用途での利用が考えられるという。2016年までに年間500台の販売を目指す。
なお、同価格帯のビデオ会議システムとしては、すでにグーグルの「Chromebox for meetings」が存在する(関連記事)。競合製品との差別化ポイントについてキヤノンS&Sでは、同社の全国サービス網を通じて設置/設定サポートが受けられる点を挙げている。通常、ビデオ会議製品は複数拠点に導入されるため、各拠点に最寄りの営業所から同社スタッフが作業に訪問することで、IT専任スタッフのいない企業や拠点でも容易に導入できるようサポートするとしている。