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昨年発表のアーキテクチャとSDN製品の“現在位置”を説明

富士通、SDNのロードマップや自社導入成果を紹介

2014年09月03日 06時00分更新

文● 大塚昭彦/TECH.ASCII.jp

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 富士通は9月2日、SDNに関する同社の取り組みについての説明会を開催した。データセンター領域におけるSDNでは、富士通社内での活用事例も紹介された。

説明会に出席した富士通 ネットワークサービス事業本部 先進テクノロジー戦略室室長の天満尚二氏同じく富士通 グローバルNIプロジェクト室 SDNソリューション部 部長 浦田悟氏

サービス利用者の体感品質を最適化するためのSDN

 富士通では、「データセンター」「広域ネットワーク」「スマートデバイス」という特性や要件の異なる3領域を対象に、サービス利用者の体感品質(QoE)をエンドトゥエンドで最適化することを目的とした、オンデマンドなITサービスのアーキテクチャ「FINCA」を構想している。

「FINCA(Fujitsu Intelligent Networking and Computing Architecture)」は、“Software-Definedな”仮想インフラ層の上にサービス基盤層を構成することで、エンドトゥエンドで最適化されたオンデマンドサービス環境を狙う

 このアーキテクチャで大きな鍵を握るのが、仮想インフラ層における“Software-DefinedなITインフラ”の実現だ。ネットワークの場合はSDNがその役割を担う。

 富士通では、昨年(2013年)5月にFINCAを発表し、FINCAを実現するためのデータセンター向け製品群を発売した(関連記事)。また今年5月には、広域ネットワーク向けSDN製品「Virtuoraシリーズ」も発表している(関連記事)

 今後、2015年度後半をめどにスマートデバイス領域でのSDN展開も行う計画。さらに、データセンターと広域ネットワーク領域におけるSDN展開もそれぞれ強化し、FINCAの最終目標である「エンドトゥエンドでのサービス最適化」の基盤を構成していく。

今後の富士通SDNロードマップ。未発表のスマートデバイス領域についても来年度にはSDN展開を計画している

データセンター向けSDN、富士通社内でも活用中

 説明会に出席した富士通の天満氏は、3領域のうちデータセンター向けのSDN関連製品について、今後の機能拡張計画や富士通社内における活用事例も含め紹介した。

 富士通では、昨年5月のFINCA発表時に、データセンターの物理/仮想リソース全体を管理するオーケストレーター「ServerView Resource Orchestrator」の機能拡充、ユニファイドファブリックスイッチの新製品「CFX2000」、ファイアウォールやロードバランサなど複数の仮想アプライアンスを集約、実行するプラットフォーム「IPCOM VXシリーズ」の提供開始も併せて発表している。

オーケストレーター「ServerView Resource Orchestrator」を中核として、富士通製品だけでなくマルチハイパーバイザ、マルチベンダー、オープン技術に対応していく方針

 CFX2000は、「VFAB(Virtual Fabric)」と呼ばれるレイヤー2の仮想ネットワークセグメントを構成できる10/40GbE対応のスイッチである。複数台のCFX2000を、仮想的に1台のファブリックスイッチとして管理することができる。また、最大3000のVFAB仮想セグメントを論理分割することができるので、多数のテナントが完全に独立したレイヤー2ネットワークを利用可能だ。

多数のサーバーを収容する環境にファブリックスイッチCFX2000を導入するメリット。複雑な設計や手間のかかる設定変更が不要になるほか、複数経路の帯域を効率的に(Active-Activeで)利用できる

 また、CFX2000のVFABはレイヤー2の仮想セグメントであり、VFAB上でさらにレイヤー3トンネル(VMware NSXのVXLAN、Microsoft Hyper-VのNVGREなど)の仮想ネットワークを併用することもできる。こうした仮想ネットワークを終端して、外部ネットワーク(物理サーバー)と接続可能にするゲートウェイ製品も計画中であり、「できれば来年度の早いうちには提供したい」(天満氏)としている。

 SDN活用事例として、天満氏は静岡県沼津市にある富士通の「ソフトウェア開発クラウドセンター」を紹介した。同センターでは国内外10拠点にいる富士通グループのソフトウェア開発者に対し、ネットワークを介して物理マシン/仮想マシンリソースを提供している。x86からメインフレームまで新旧850種類以上のサーバーが設置されており、6500の仮想マシンを運用しているという。

 同センターでは、CFX2000によるファブリックネットワークを導入したことで、大幅に運用効率が向上したという。たとえば、これまでサブネットの増設作業には平均140分かかっていたが、これを20分(バックアップ含む)に短縮したという。また、CFX2000の機能により、仮想マシンが物理サーバー間を移動した場合にも、管理者が定義を追加することなく自動的に追従する。

SDX2000の導入事例として紹介された富士通「ソフトウェア開発クラウドセンター」(ROR=Resource Orchestrator)。大幅な運用効率化が実現している

 ちなみに、CFX2000は現在のところOpenFlowによる制御には対応していない。これについては天満氏は、OpenFlowだけでなくシスコが提唱するOpFlexなどさまざまな制御プロトコルが今後も登場し、「最終的にどれか1つになるというものでもないと見ている」と述べた。各種制御プロトコルについては、富士通も開発に参加する「OpenDaylight」などのアダプタを介することで対応できる。そのため、市場の動向を見ながら対応していく構えだ。

 一方、Resource Orchestratorについては、今年12月にOpenStack対応のAPIを提供予定である(関連記事)。これを通じて、オンプレミス/プライベートクラウド基盤と、富士通の提供するIaaS「FUJITSU Cloud IaaS Trusted Public S5」やOpenStackベースのクラウド、AWSクラウドといったパブリッククラウド間でのポータビリティも拡大していく方針。

富士通SDNの“強み”とは?

 SDN市場には、すでにネットワークベンダー、仮想化ソフトウェアベンダー、サーバーベンダーなどがさまざまな技術と製品を投入している。「富士通ならではの特徴、強み」について天満氏は、仮想インフラだけでなく物理インフラも監視/管理/制御することでミッションクリティカル性を確保すること、またクラウドやNFV、WAN、セキュリティ、IoTといったソリューションを構成するうえでの一機能としてSDNを位置づけていることなどを挙げた。

 「たとえば、仮想ネットワークでレイヤー3より上だけを見ているベンダーもあるが、物理インフラ(レイヤー2より下)で障害が起きたらどうするか。富士通のResource Orchestratorでは、物理インフラも監視している。『仮想は仮想、物理は物理』ではなく、現場に近い感覚で、仮想と物理の両方を見ている」(天満氏)

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