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SDNによるIT基盤最適化コンセプト製品の第2弾、通信事業者向け

富士通、広域ネットワークにSDNを適用する「Virtuora」発表

2014年05月12日 06時00分更新

文● 大塚昭彦/TECH.ASCII.jp

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 富士通は5月9日、通信事業者やサービス事業者向けの広域ネットワーク仮想化製品群「Virtuora(バーチュオーラ)シリーズ」の販売開始と、ネットワーク品質管理ソフトウェアの機能強化を発表した。SDNにより既存のIPネットワーク機器やアプライアンスハードウェアも統合制御し、ユーザーニーズに応じた多様なネットワークサービスを柔軟かつ迅速に実現する。

 富士通では2013年5月、IT基盤全域にSDNを適用して最適化を図る「FUJITSU Intelligent Networking and Computing Architecture(FINCA)」コンセプトを発表し、第1弾としてデータセンター領域の製品群を発売している(関連記事)。今回はこのFINCAコンセプトに基づく第2弾の製品群となる。

 今回、新たに提供されるのは、広域仮想ネットワークを集中管理するコントローラーソフトウェア「Virtuora NC」と、OpenFlow v1.3対応の仮想ネットワークノードソフトウェア「Virtuora SN-V」の2製品。また、既存のネットワーク品質管理ソフトウェア「ProactnesII QM」において、Virtuoraによる仮想ネットワークへの対応機能を強化している。

Virtuora NC/SN-VおよびProactnesII QMで構成される、SDNによる広域ネットワーク仮想化の全体像

 コントローラーのVirtuora NCでは、ネットワーク/ノードの構成情報を集中管理することで、サービスごとに最適な仮想ネットワークの構築(経路設計と経路情報の通信機器への設定)を自動化する。独自の「経路設計エンジン」を備えており、中継ノードの段数や確保可能な帯域幅といった情報とポリシー(「帯域優先」「遅延最小化」など)に基づいて、最適な経路が瞬時に決定される。

仮想ネットワークの設計ポリシー選択(デモ画面より)。ここで設定したポリシーや帯域幅、ホップ数上限などに基づいて、経路設計エンジンが瞬時に経路を決定する

 またVirtuora NCでは、OpenFlowによる仮想化ノードの設定変更だけでなく、主要なIPネットワーク機器のコマンド投入による設定変更にも対応している。さらに、アプリケーションごとに求められるネットワークサービス(ファイアウォールやロードバランサ、IDS/IPSなど)を適用するサービスチェイニングにおいて、仮想アプライアンスだけでなく既存の物理アプライアンスも組み込むことが可能。これらの機能により、既存のネットワーク構成から段階的なマイグレーションができることも特徴となっている。

Virtuora NCは、仮想化ノードだけでなく既存のIP通信機器も一元的に制御できる

 仮想化ノードのVirtuora SN-Vは、Virtuora NCが設定した情報に基づき仮想ネットワーク制御とデータ転送処理を行う。汎用的なx86サーバー/Linux上で動作するソフトウェアであり、ネットワーク専用機器を利用する場合と比較してCAPEXの削減効果が見込める。NCの制御によらず、自律的な経路障害監視や障害時の経路切り替え機能も実装している。

Virtuora SN-Vは、L2 over L3トンネリングによって仮想ネットワークを構成するノード。x86サーバーで動作するためCAPEX削減効果が望める

 ネットワーク品質管理を行うProactnes II QMでは、品質劣化の生じているユーザーや発生要因をリアルタイムに表示する。今回、通信品質の劣化をVirtuora NCに通知するインタフェース、ネットワーク仮想化(トンネリング)プロトコルのNVGREやQ-in-Qへのサポートを追加した。

 販売価格(税別)は、Virtuora NCが1300万円より、Virtuora SN-Vが100万円より、ProactnesII QMが377万円より。出荷開始時期はNCとQMが6月から、SN-Vが9月からとなっている。

 富士通ではVirtuoraシリーズおよび関連製品で、海外市場も含め2016年3月末までに売上120億円を販売目標としている。

光伝送レイヤーなど、今後さらに制御対象を拡大

富士通 ネットワークビジネス戦略室 SDN推進室 室長代理の浦田悟氏

 発表会に出席した富士通 ネットワークビジネス戦略室 SDN推進室 室長代理の浦田悟氏は、仮想化やクラウドの技術で柔軟に利用できるようになったコンピューティングリソースと同様に、ネットワークサービスも「より自由にしていこう」という発想だと説明した。

 「通信事業者に申請をして1~2週間後にやっと開通するというのではなく、Webで申し込むとすぐに使えるような、オンデマンドなネットワークサービスを実現する」(浦田氏)

 さらにVirtuoraシリーズでは、通信経路や帯域の確保だけでなく「エンドユーザーの体感品質(QoE:Quality of Experience)」も監視し、QoEの確保もテーマとしていると、浦田氏は付け加えた。

富士通 ネットワークソリューション事業本部 プリンシパル プロダクト プランナの高橋英一郎氏

 富士通 ネットワークソリューション事業本部 プリンシパル プロダクト プランナの高橋英一郎氏は、既存のネットワークを構成するIP機器と仮想ノードの両方に対応しているため、「“構造改革後”の(仮想化された)ネットワークを徐々に構築していくことも、スムーズにできる製品」と、マイグレーションにおけるVirtuoraシリーズの利点を強調した。

 高橋氏は、同製品により実現する広域仮想ネットワークの活用例として、M2M(Machine to Machine)における通信を挙げた。M2Mでは車載装置や自販機、センサーなどそれぞれの通信特性によってネットワーク要件が顕著に異なるため、仮想ネットワークによるダイナミックな制御が有益だと、同氏は説明した。

 なお、富士通では今後、Virtuoraシリーズの管理/制御対象をパケットレイヤーだけではなく、光トランスポートレイヤー(光伝送装置)やワイヤレスレイヤー(無線基地局)などにも拡大していく方針だという。これにより、より柔軟性の高い、総合的なSDN製品を提供していくと述べた。

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