Interop Tokyoの基調講演で語った、現実化するSDNへの備え
「ネットワーク技術者も自動化スキル習得を」ジュニパー幹部
2014年06月25日 14時00分更新
SDNにおける「囲い込み」はプロトコルから始まる?
(基調講演より要旨)
「SDNならばベンダーロックインから逃れられるか?」――その可能性はある。
もちろん、ネットワーク/サーバー/ストレージの垂直統合型ソリューションを提案するベンダーもいる。だが、垂直統合が囲い込みにつながり、コスト増大や新技術導入の遅れにつながることを、われわれはすでに学んできたはずだ。
もう1つ、ネットワーク業界の抱える根本的な問題点として「顧客の抱える課題に対し、頻繁に新しいプロトコルを作ってしまう」ことがある。その結果、今や“プロトコルだらけ”だ。そして、新しいプロトコルが囲い込み(ベンダーロックイン)の手段とされることもある。
特定ベンダー、特定製品へのロックインを防ぐためには、そこで使われているプロトコルが単に“標準(スタンダード)”を謳っているかどうかではなく、実際に業界内で幅広く受け入れられているものかどうかに注目し、選択することが重要だ。
――SDNという新たな世界への移行にあたって、ベンダーロックインの危険性があることも強調されていましたね。特に「プロトコルによる囲い込み」について。
「オープン」「標準」を謳っていても、業界で広範に受け入れられているプロトコルと、実際にはほかのベンダーが採用していないプロトコルとがあることに注意しなければならない。後者を選択してしまうと、この先10年も20年も囲い込みに遭ってしまい、設備投資も運用コストも高くついてしまう。
プロトコルを通じて顧客をうまく囲い込もうとしているベンダーもある。たとえばEIGRP(Enhanced IGRP)、最近の例ではOpFlexといったプロトコルだ。曰く「標準化委員会に提案している」と言っても、ほかにどのベンダーも実装していないようなプロトコルも存在する。
――OpFlexの名前が出たので率直にお聞きしますが、シスコの「ACI(Appilication Centric Infrastructure)」ビジョンについてはどのように見ていますか。
垂直統合型ソリューションの良い例だろう。シスコはサーバーからストレージ、セキュリティ、ルーティングやスイッチングと、すべてを一社で包括的に提供しようとしている。顧客が「すべて単一ベンダー製品でまかなう」という方針ならば、妥当な選択肢だと言える。
だが、顧客企業はよりオープンさを求める方向へと進んでいる、とジュニパーでは考えている。ACIは、そうした動きとは逆の方向に向いている。
これまでFortune 500クラスの企業幹部と数多く話してきたが、10年前ならばいざ知らず、現時点で「垂直統合型のソリューションが良い」と言った人は1人もいない。マルチベンダーのアプローチによって、単一ベンダー依存で取り組むよりもコストを劇的に削減できるのが現実だからだ。
(→次ページ、“IQの高い”ネットワークの実現とは?)
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